奈多宮(読み)なだぐう

日本歴史地名大系 「奈多宮」の解説

奈多宮
なだぐう

[現在地名]杵築市奈多

奈多の海岸に鎮座し、俗に奈多八幡宮という。祭神八幡大神(応神天皇)・比売大神・大帯比売(神功皇后)宇佐宮の別宮で、安岐あき郷に属した。当宮所蔵の舞楽陳道面に「八幡奈多宮 応保二年十一月十一日」とあり、古くは八幡奈多宮とよばれていた。平安時代後期までには安岐郷宇佐宮の封郷となっており、この地は宇佐宮と特別な因縁をもっていた。奈多宮の成立がいつかを明らかにする史料は現在ないが、「八幡宇佐宮御託宣集」や石清水文書の中に次のような記述がある。天平勝宝六年(七五四)に起こった厭魅(呪詛)事件により、宇佐宮の女禰宜大神杜女と大神田麻呂が遠流となるが、これにより宮が穢れたとする八幡神は宇佐の地を去り、四国伊予国の宇和うわの峰(現不明)に移ったという。その後宇和と宇佐を往来するとき、「豊後国国崎郡安岐郷奈多の浜」の大きな石に座り気をやすめ住むべき場所を探したという。この伝承は奈多宮と宇和郡(現愛媛県)との関係を示唆すると思われるが、その意味付けは難しい。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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