奥入(読み)オクイリ

デジタル大辞泉 「奥入」の意味・読み・例文・類語

おくいり【奥入】

鎌倉時代の注釈書。1巻。藤原定家著。安貞元年(1227)以後の成立とされる。源氏物語の中の故事出典・引き歌などを考証したもの。源氏物語奥入。定家卿釈。

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精選版 日本国語大辞典 「奥入」の意味・読み・例文・類語

おく‐いり【奥入】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 奥州の地に立ち入ること。
      1. [初出の実例]「鎌倉をいでて、奥いりとて」(出典:愚管抄(1220)五)
    2. 建物などの表から裏までの長さ。奥行。
      1. [初出の実例]「南京の大成殿と云ものは、高さ六間ばかり、はば二十間余、奥入十一二間ほどの堂なり」(出典:制度通(1724)一一)
    3. 巻末などに注記が加えてあること。また、そのもの。
      1. [初出の実例]「定家卿は巻々の末に、奥入とて少しづつ話し給へり」(出典:随筆・戴恩記(1644頃)上)
    4. 商家の奉公人で、奥向きに出入りすることを許されている者。
      1. [初出の実例]「是誰ぞ来いよといふ声に奥入(オクイリ)の小僧長松『ヘイ』」(出典:人情本・花鳥風月(1830‐44頃)二)
  2. [ 2 ] ( 奥入 ) 「源氏物語」の注釈書。一巻。藤原定家著。天福元年(一二三三)以後の成立。定家が「源氏物語」青表紙本の各巻の奥に書き入れた故事、出典、引き歌などに関する勘物(考証)の集成。源氏物語奥入。定家卿釈。

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世界大百科事典(旧版)内の奥入の言及

【源氏物語】より

… 最も重要なのは注釈で,最初の《源氏釈》は藤原伊行著,ほとんどすべて引歌考証である。これを《奥入(おくいり)》とも呼んだのは巻末に付載されたからだが,これを増補した定家の《奥入》がより有名となった。河内方の《水原(すいげん)抄》は大部なものだったが散逸した。…

※「奥入」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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