奥津比神社(読み)おきつひめじんじや

日本歴史地名大系 「奥津比神社」の解説

奥津比神社
おきつひめじんじや

[現在地名]輪島市海士町

舳倉へぐら島の南西端近くに鎮座祭神は田心姫命。市杵島姫命・奥津比命とする説もある。旧村社。「延喜式」神名帳の鳳至ふげし郡「奥津オクツ神社」(オキツ、フカツノ)に比定されている。「万葉集」巻一八に、天平感宝元年(七四九)五月一四日能登守大伴家持の「珠洲海人の沖つ御神にい渡りて」と始まる長歌みえ、沖つ御神とは当社と考えられている。「今昔物語集」巻二六にねこの島(舳倉島)の主は蛇で、加賀国の釣人加勢により蜈を退治したとみえる。島の主である蛇を当社祭神奥津比神とみる説もある。古代ななッ島に仲津比なかつひめ神社、すなわち中津宮の存在を想定し、能登半島本土の外浦沿岸に位置する辺津比へつひめ神社を辺津宮、当社を奥津宮とし、もとムナカタ三女神と同様にヘクラ三女神で、海北道中を守護するチヌシノムチであったと考える説もある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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