朝日日本歴史人物事典 「妙音比丘尼」の解説
妙音比丘尼
室町時代の遊行の尼。信濃国(長野県)の人。紀伊国(和歌山県)高野山麓の慈尊院政所別当中橋氏の口承によると,妙音は文明10(1478)年巡礼の途中に慈尊院に滞在したが,建物の後ろ側が紀ノ川に接しているのをみて,後世に洪水があれば危険になると考え,替え地として山際の土地を探し,私財を投じて求めて立ち去った。はたして天文9(1540)年紀ノ川が氾濫し,境内地の大半が流されたので,堂塔伽藍,鐘楼を妙音の求めた土地に移したという。<参考文献>『高野春秋編年輯録』,日野西真定「高野山麓刈萱堂の発生と機能」(シリーズ女性と仏教4巻『巫と女神』)
(西口順子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報