姉川新四郎(読み)あねがわ・しんしろう

朝日日本歴史人物事典 「姉川新四郎」の解説

姉川新四郎(初代)

没年寛延2.11.25(1750.1.3)
生年:貞享2(1685)
江戸中期,上方歌舞伎役者,座本。俳名女市。富沢左馬之介・染川十郎兵衛の門弟。豊島勝之介,勝三郎の名を経て姉川新四郎を名乗り,地方巡業ののち,宝永7(1710)年大坂嵐三右衛門座で大芝居の初舞台を踏み,寛延2(1749)年,立役の極上上吉に準ずる位付けを得た。にがみばしった男振り,たしかな口跡,小柄ながら身振り凜々しく,荒事がかった実事,特に男伊達の芸を本領とした。しかし優美さに欠け,どの役も男伊達風となるのが短所で,所作事も不得手であった。当たり役は「黒船」物の侠客忠右衛門,「非人敵討」の次郎右衛門など。名跡は明治期の6代まである。<参考文献>『歌舞伎評判記集成』1,2期

(上野典子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「姉川新四郎」の解説

姉川新四郎(初代) あねがわ-しんしろう

1685-1750* 江戸時代中期の歌舞伎役者。
貞享(じょうきょう)2年生まれ。若女方から立役(たちやく)に転じ,染川十郎兵衛の門人となる。大坂を中心に活動し,実事(じつごと)を得意とした。当たり役は「男模様二枚雛形(ひながた)」の黒船忠右衛門で,姉川頭巾(ずきん)と評判になった。寛延2年11月25日死去。65歳。大坂出身。初名は豊島勝之助。前名は豊島勝三郎。俳名は女市。屋号は鯉屋。

姉川新四郎(4代) あねがわ-しんしろう

1809-1853 江戸時代後期の歌舞伎役者。
文化6年生まれ。3代中村大吉の兄。初代実川額十郎,のち3代姉川新四郎の門にはいり,弘化(こうか)4年4代目を襲名。京都,大坂で活躍。敵役(かたきやく),親仁方(おやじがた)を得意とした。嘉永(かえい)6年4月19日死去。45歳。初名は浅尾鬼吉。前名は2代浅尾仲蔵,姉川仲蔵,浅尾工左衛門。俳名は小猿。屋号は堺屋

姉川新四郎(3代) あねがわ-しんしろう

1748-1805 江戸時代中期-後期の歌舞伎役者。
寛延元年生まれ。姉川新太郎の門にはいり,のち若女方より立役(たちやく)に転じ,天明4年3代目を襲名。京都,大坂で活躍。世話物や実事(じつごと)を得意とした。文化2年2月26日死去。58歳。初名は姉川綱吉。前名は2代姉川みなと。俳名は一幸。屋号は大津屋,鯉屋。

姉川新四郎(2代) あねがわ-しんしろう

?-? 江戸時代中期の歌舞伎役者。
初代姉川新四郎の養子となり,宝暦4年(1754)2代目を襲名,大坂角座の座本(ざもと)をつとめる。12年若衆方より若女方に転ずるが,のち役者をやめ,医師となった。初名は姉川新之助。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android