朝日日本歴史人物事典 「姉川新四郎」の解説
姉川新四郎(初代)
生年:貞享2(1685)
江戸中期,上方の歌舞伎役者,座本。俳名女市。富沢左馬之介・染川十郎兵衛の門弟。豊島勝之介,勝三郎の名を経て姉川新四郎を名乗り,地方巡業ののち,宝永7(1710)年大坂嵐三右衛門座で大芝居の初舞台を踏み,寛延2(1749)年,立役の極上上吉に準ずる位付けを得た。にがみばしった男振り,たしかな口跡,小柄ながら身振り凜々しく,荒事がかった実事,特に男伊達の芸を本領とした。しかし優美さに欠け,どの役も男伊達風となるのが短所で,所作事も不得手であった。当たり役は「黒船」物の侠客忠右衛門,「非人敵討」の次郎右衛門など。名跡は明治期の6代まである。<参考文献>『歌舞伎評判記集成』1,2期
(上野典子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報