イカロス(読み)いかろす(英語表記)Ikaros

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イカロス」の意味・わかりやすい解説

イカロス
いかろす
Ikaros

ギリシア神話の工匠ダイダロスと、クレタ王ミノスの女奴隷ナウクラテの間に生まれた子。ダイダロスは、アリアドネに、迷宮ラビリントスから英雄テセウスを救い出す方法を教えた。そのためテセウスが怪物ミノタウロスを退治したことを知って怒ったミノス王は、ダイダロスとイカロス父子を迷宮ラビリントスに閉じ込めた。しかし、ダイダロスは翼を考案してそれを自分と息子の肩に蝋(ろう)で固定し、迷宮からの脱出に成功した。ところが息子イカロスは、天高く飛んではならないという父親の忠告を忘れて得意になって高く飛翔(ひしょう)したため、太陽の熱で翼の蝋が溶け、海中に落下して溺(おぼ)れ死んだ。彼の落ちた海はその後イカロス海となった。

[小川正広]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イカロス」の意味・わかりやすい解説

イカロス
Ikaros

ギリシア神話の人物クレタ島の迷宮を建設した有名な工人ダイダロスの息子。ミノタウロスがテセウスによって退治されたあと,この殺害にダイダロスが手をかしたことを怒ったミノスによって,父とともに迷宮に閉じ込められた。ダイダロスは人工の翼を発明し,それを自分と息子の肩にろうで貼りつけて空に飛上がり,迷宮から脱出したが,飛んでいく途中でイカロスは,父の注意を忘れ,太陽に近づきすぎたために,熱でろうが溶け,翼が取れて海に落ち,溺れ死んだとされる。

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