宝引き(読み)ホウビキ

デジタル大辞泉 「宝引き」の意味・読み・例文・類語

ほう‐びき【宝引き】

室町時代から江戸時代にかけて、正月に行われた福引き一種。数本の細い縄を束ねて、その中のどれかにだいだい果実、または金銭などをつけておき、それを引きあてた者を勝ちとした。辻宝引き

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精選版 日本国語大辞典 「宝引き」の意味・読み・例文・類語

たから‐びき【宝引】

  1. 〘 名詞 〙 くじ引きで、いろいろの品物を分配したり、景品を与えたりすること。福引。ほうびき。
    1. [初出の実例]「やあ二百だね、こいつァ有難へ、立場へ行って宝引(タカラビキ)をやらう、大きに有難う」(出典歌舞伎五十三駅扇宿附岡崎の猫)(1887)序幕)

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世界大百科事典(旧版)内の宝引きの言及

【福引き】より

…その原型は,730年(天平2)に聖武天皇が正月の酒宴を開催した際に,諸臣に,仁,義,礼,智,信の一文字を記した短籍(たんざく)を抜きとらせ,引きあてた者それぞれに,絁(あしぎぬ),糸,真綿,布,常布を下付した余興に由来するとされる。その後,時代はずっと下るが,元禄年間(1688‐1704)には,縄の先に品物をゆわえて引かせ,それを引きあてたものに与える遊戯が試みられるようになり,さらに寛延・宝暦年間(1748‐64)には,〈辻宝引き〉と称して,街頭で100本の細縄を用意して,うち数十本には玩具を結びつけ,〈さござい,さござい〉とはやしながら,子どもたちを客にして引かせる大道商人があらわれる。今日,縁日の屋台などで見かける〈福引き〉遊戯の始まりというべきであろう。…

※「宝引き」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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