考古学の一研究法。遺跡から出土する土器、石器、骨角器、木器などの遺物や住居址(し)などの遺構が、どのようにつくられ、どのように使用されたかを明らかにすることは考古学研究の大きなテーマの一つである。実験考古学は、これらのものを実際につくり用いてみることによって製作技術や機能を理解しようとするものである。さらにそれらをつくり、使っていた古代人の生活をより実証的に復原しようとする方法である。最近とくに実験考古学ということばが使われることが多く、各地の博物館や研究機関においても、体験学習のような社会教育的な面でも理解されやすい方法として普及している。
[南 博史]
『楠本政助著『縄文生活の再現――実験考古学入門』(1980・筑摩書房)』
…このほか,特定の課題や生活分野を取り扱う部門として,環境と人間のかかわり合いを研究する環境考古学,産業革命期を中心とした時代の産業技術を研究する産業考古学,キリスト教関係の建物や遺物を研究するキリスト教考古学,聖書の記述と遺跡・遺物の対比研究を行う聖書考古学,仏教考古学,美術考古学などが成立している。また,特定の方法・技術を駆使して研究を推進する部門として,航空写真の判読を行う航空考古学,潜水して水底の遺跡を調査する水中考古学,過去の技術を実験的に復原して仮説を検証したり,仮説構成のためのデータを得ようとする実験考古学などが成立している。
【資料の収集】
昔の考古学者は偶然の発見物に頼ることが多かったが,現在は研究者自身が綿密な踏査を行い,地表の不自然な凹凸や,散らばっている遺物を手がかりにして遺跡の分布を調べ,発掘を行う。…
※「実験考古学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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