友禅染めの創始者と称されているが、その生没年は明らかでなく、その事績も正確なことはわかっていない。文献としてはその著と思われる『和歌物あらかひ』と『余情ひいながた』(1692)があり、その末尾に洛陽(らくよう)産扶桑扇工友禅とあり、また1707年(宝永4)の祇園梶女(ぎおんかじじょ)の歌集『梶の菜集』に洛陽画工友禅とある。したがって元禄(げんろく)(1688~1704)前後の京都に居住して扇面の絵や衣装の模様を描き、大いに世間に喧伝(けんでん)された画工であったろうということは想像されるが、これといわゆる友禅染めの技術の開発とを結び付けて考えることにはやや無理があるように思われる。
[山辺知行]