朝日日本歴史人物事典 「寂仙」の解説
寂仙
生年:生年不詳
奈良中期の修験僧。四国一の高峰である伊予国(愛媛県)の石鎚山に籠もって,心身を清め,修行に励み,人々から「菩薩」と敬われた。天平宝字2(758)年の臨終の際,28年後に,国王の子として生まれ変わり,「神野」と名づけられるだろうと遺言した。28年後の延暦5(786)年,桓武天皇の第2皇子,「神野の親王」と称した嵯峨天皇がその生まれ変わりと信じられた。のちに,石鎚山で出家前に修行した空海は嵯峨天皇から東寺を与えられ,また高野山の地を譲られて,金剛峰寺を創建したという奇しき因縁がある。<参考文献>『日本霊異記』
(川村邦光)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報