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富士山の広域防災 ふじさんのこういきぼうさい

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知恵蔵2015の解説

富士山の広域防災

富士山は、周辺には多数の住民、観光客・登山者を抱え、近くを日本の基幹をなす鉄道や道路が通る。大噴火が起こると、その影響は首都圏や日本全体の経済・社会活動に及ぶ。それを考慮して「富士山火山広域防災対策基本方針」が、2006年2月に中央防災会議で決定された。その目的は、国や地方公共団体などの関係機関が果たすべき防災上の役割を定め、具体的な対策の策定を促すことにある。 この基本方針は、防災上の緊急性に応じて富士山やその周辺を、噴火地点となりうる第1次ゾーン、噴火後3時間以内に溶岩流、噴石、降下火砕物などが到達しうる第2次ゾーン、噴出物の影響がもっと後に、または最大規模の噴火でのみ表れる第3次、第4次ゾーン、降下火砕物の影響のみを受ける第5次ゾーンに区分する。他に降下物や土石流などの危険ゾーンも設定される。各ゾーンで取るべき対策は事前に決めておき、その発動は気象庁火山情報火山噴火予知連絡会の見解に基づくものとされる。この基本方針には、立ち入り規制や避難指示の出し方の他に、情報伝達、避難先、避難方法、人や物の輸送方法、交通規制、復旧対策なども盛り込まれている。 富士山は宝永の噴火(1707年)以後静穏な状態だが、長期的なマグマ噴出率が日本で最も高い火山。2000年に深部で低周波地震が多発したのを契機にハザードマップが作られ、今回基本方針が提示された。これらに沿って準備を進める中で、噴火予知の技術を向上させることが望まれる。

(井田喜明 東京大学名誉教授 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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