寒施行(読み)カンセギョウ

デジタル大辞泉 「寒施行」の意味・読み・例文・類語

かん‐せぎょう〔‐セギヤウ〕【寒施行】

寒中に、餌の乏しいキツネタヌキなどに食物を施すこと。巣穴の前やあぜ山道などに置く。穴施行野施行 冬》「―北へ流るる野川あり/波郷

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精選版 日本国語大辞典 「寒施行」の意味・読み・例文・類語

かん‐せぎょう‥セギャウ【寒施行】

  1. 〘 名詞 〙 寒中、餌を捜すのに苦労する狐や狸などの小動物に餌を施すこと。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「寒施行北へ流るる野川あり」(出典:酒中花(1968)〈石田波郷〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「寒施行」の意味・わかりやすい解説

寒施行
かんせぎょう

寒中の餌(えさ)の少ない時期に、小豆(あずき)飯、油揚げなどを田畑やキツネの巣の所に置き、野獣に施しをする年中行事。食べ物を野に置くので「野施行」、キツネの穴をみつけて与えるので「穴施行」ともいう。中国地方から近畿地方にかけて広く行われた。家々から米や銭を集めて食べ物を調え、多くは夜遅く、「寒施行、寒施行」と唱えながら道々投げ歩く。稲荷(いなり)の小祠(しょうし)に供物をあげながら巡拝する所もある。

[井之口章次]

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