寺家遺跡(読み)じけいせき

国指定史跡ガイド 「寺家遺跡」の解説

じけいせき【寺家遺跡】


石川県羽咋(はくい)市寺家町にある祭祀遺跡能登半島の西側付け根付近の海岸砂丘上に所在し、約500m北西にある能登国一宮であった気多(けた)神社との密接な関係を暗示する遺跡。1978年(昭和53)からの発掘調査の結果、火を焚いた跡や石組みの炉などが確認され、海獣葡萄鏡(かいじゅうぶどうきょう)などの銅鏡・帯金具・銅鈴(どうれい)・銅鋺(どうわん)などの銅製品、鉄鏡・鉄鐸(てったく)・鉄刀などの鉄製品、勾玉(まがたま)、土馬(どば)、斎串(いぐし)、牛馬歯骨、土器、二彩・三彩陶器などが出土した。墨書(ぼくしょ)土器には、「宮」「宮厨(みやのくりや)」「司」「神」「奉」などと書かれ、神祇(じんぎ)信仰との関係がうかがえる。竪穴(たてあな)式住居のほか、祭祀を管理していたとみられる9世紀後半の大型掘立柱建物や、溝と柵列で区画された神社的な性格のある掘立柱建物などが見つかっている。2012年(平成24)に国の史跡に指定された。『万葉集』には越中守として着任した大伴家持(おおとものやかもち)が、気太神宮(気多神社)に巡行したという記載があり、至近距離にある寺家遺跡の遺構や出土遺物の内容は、祭祀への国家の関わりが推測されている。JR七尾線羽咋駅から車で約12分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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