銅鋺(読み)かなまり

改訂新版 世界大百科事典 「銅鋺」の意味・わかりやすい解説

銅鋺 (かなまり)

銅製の椀形容器をいう。鋳造ののち,ろくろで削って整形する。器形としては,蓋がつき承盤(托)にのせる高台付鋺形,盒形,杯形など多岐にわたる。南北朝時代から隋・唐時代の中国では,銅製のほか金製や銀製のものがあり,同時代の朝鮮や日本の遺跡から類似品が出土する。韓国の百済武寧王陵からは銅製承盤と蓋付きの銀鋺と組み合わさったものが出土し,同時に銅製の鋺も発見されている。日本の古墳時代後期墓から発見される銅鋺の祖形とみられる。中国西安市の隋・李静訓墓からは銀製の盒・鋺・鉢が出土している。また同市何家村の唐代遺跡からは,鍍金をかけ唐草文・鳥獣文・魚子などを鏨(たがね)彫にした銀製の杯類が出土している。それらは西域伝来の打出金銀器の影響下で成立したもので,類似品が日本の法隆寺正倉院に伝世されており,飛鳥・奈良時代の銅鋺の原形をたどることができる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「銅鋺」の意味・わかりやすい解説

銅鋺
どうわん

青銅製の鋺 (かなまり) 。仏具一種で,舎利容器,供養仏器として用いられたと思われる。横穴や,後期古墳に埋葬された例も多い。古墳に埋葬されたものの分布中部地方より東のほうに多く全体の8割に及んでいる。鋺形のものと,脚台付きのものとに分けられ,鋺形のものは高台のあるものとないものとに,脚台付きのものは承台のあるものとないものとに分けられる。ふたのあるものとないものとがある。

銅鋺
かなまり

青銅製の鋺で,仏具の一種といわれる。横穴や後期の古墳に埋葬された例も多い。古墳に埋葬されたものの分布は中部地方より東のほうに多く,全体の8割に及んでいる。いわゆる鋺形のものと,脚台のついているものに分けられ,鋺形のものは高台のあるものとないものに,脚台付きのものは承台のあるものとないものとに分けられ,そのいずれにもふたのあるものとないものとがある。

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