能登半島(読み)のとはんとう

精選版 日本国語大辞典 「能登半島」の意味・読み・例文・類語

のと‐はんとう ‥ハンタウ【能登半島】

石川県北部を占める半島。七尾・羽咋(はくい)の両市を結ぶ線を基部とし、日本海に突出する。富山湾に面する東側を内浦、日本海に面する西側を外浦といい、東側に七尾湾を抱く。

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デジタル大辞泉 「能登半島」の意味・読み・例文・類語

のと‐はんとう〔‐ハンタウ〕【能登半島】

本州中央部の日本海に突出する半島。大部分は石川県。東の富山湾側を内浦、西側の日本海岸を外浦とよぶ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「能登半島」の意味・わかりやすい解説

能登半島
のとはんとう

本州中央部にあり、日本海側では最大の半島。南北約100キロメートル、東西30~50キロメートル。大部分は石川県に、基部東側は富山県氷見市(ひみし)に属す。東側に富山湾を抱き、この沿岸を内浦(うちうら)、北側、西側の日本海岸を外浦(そとうら)と称する。また半島先端部を奥能登、基部を口能登(くちのと)、七尾(ななお)・氷見両市の富山湾岸を灘浦(なだうら)という。内浦に能登島があり、七尾湾を南湾、西湾、北湾に分ける。一般に低平な丘陵性地形をなし、最高峰は口能登の宝達山(ほうだつさん)(637メートル)で、石川・富山県境を宝達丘陵がほぼ南北に走り、さらに奥能登丘陵が北東―南西方向に広がる。口能登には邑知潟(おうちがた)地溝帯が奥能登丘陵と並行に走り、半島最大の平野をなす。邑知潟などの潟湖(せきこ)は干拓により大部分が水田となった。河川は短く、樹枝状に丘陵を刻み、小平地をつくっている。奥能登外浦や宝達丘陵では地すべり地形が多く、その防止に苦慮している。海岸段丘が数段にわたり発達し、とくに内浦で顕著である。ここには珪藻土(けいそうど)の堆積(たいせき)が著しく耐火れんがなどに加工している。内浦はリアス海岸が多く、九十九(つくも)湾を典型とする景観を示す。外浦は曽々木(そそぎ)、能登金剛(こんごう)に代表されるように断崖(だんがい)や奇岩・怪石の多い景観を展開する。新第三紀層が広く発達するが、基盤に飛騨片麻(ひだへんま)岩類や古生代末の深成岩類がある。外浦には中新世の安山岩溶岩、火砕岩類がある。対馬(つしま)暖流の影響で積雪は少ない。タブ、シイ、ツバキなど南方系の照葉樹が分布し、他方、北方系のアテ(アスナロ)の樹林などもみられる。溜池(ためいけ)が多いのも特色で、梅雨期の豪雨で水害を被ることがある。農林畜産、水産業を主体とし、沿岸は好漁場でブリ、イカなどの水揚げが多い。氷見、七尾、輪島、宇出津(うしつ)港などが漁業基地。志賀(しか)町、白山(はくさん)市には石川県水産総合センター生産部があり増殖に努めている。口能登で繊維工業の発達をみたが、弱電工業とともに半島一円に普及し、志賀町には能登中核工業団地が造成された。海岸地帯を中心に能登半島国定公園に指定され、和倉温泉(わくらおんせん)はその観光基地。大陸、山陰との交流を示す遺跡も多く、近世は海上交通の基地で栄えた。JR七尾・氷見線、のと鉄道、海岸部をほぼ一周する国道249号などのほか、中心部能登有料道路(2013年の無料化後「のと里山海道」と愛称する)が通じる。また、半島北部、石川県輪島市、穴水(あなみず)町、能登町にまたがる木原(きはら)岳周辺に能登空港がある。

[矢ヶ崎孝雄]


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改訂新版 世界大百科事典 「能登半島」の意味・わかりやすい解説

能登半島 (のとはんとう)

本州中央部に位置する日本海側最大の半島。石川県の北半部を占め,一般に能登地方と呼ばれる。石川・富山県境をなす宝達(ほうだつ)丘陵を基部として北に突出し,南北約100km,東西約50kmに及び,半島基部から富来(とぎ),中島,能登島の3町を結ぶ線までの口能登と,その北の奥能登に区分される。また,半島の北岸および西岸の日本海側を外浦,東岸の富山湾側を内浦と呼ぶ。

 半島は全体に低平な準平原的地形で,新第三紀層が骨格をつくる。南部には南端の宝達山(637m)を最高峰に,修験道で有名な北端の石動(いするぎ)山(564m)にかけて南西~北東に宝達丘陵が走り,北部には大きく弧を描きながら奥能登丘陵がのびる。奥能登丘陵は標高300~400mの定高性をもつ丘陵で,最高峰の高洲(こうのす)山(567m)をはじめ宝立(ほうりゆう)山(471m),桑塚山(409m)などが残丘状に丘陵面からそびえている。また比較的開析がすすみ,水田化された開析谷が丘陵を深く刻んでいる。宝達丘陵の北西側には,南西端の羽咋(はくい)市から北東端の七尾市南東部にかけて,半島を分断するように幅約5km,長さ約25kmの邑知潟(おうちがた)低地帯が走り,能登半島最大の平野部を形成している。その南西部の邑知潟は1968年に完成した国営干拓事業により,わずかな遊水池を残すのみとなった。外浦の南西部は河北砂丘北部にあたり,波打ちぎわを乗用車が通行できる〈なぎさドライブウェー〉が通じる千里浜海岸をはじめ,高浜砂丘,増穂砂丘などが発達するが,中部から北部にかけては,能登金剛,猿山岬,西保海岸,曾々木(そそぎ)海岸,中田浜,禄剛(ろつこう)崎など海食崖や波食台が発達した男性的景観がみられる。これに対し内浦の海岸は,九十九(つくも)湾七尾湾など溺れ谷状の沈水海岸からなり,外浦とは対照的な女性的景観がみられる。

 能登は邑知潟低地帯を除き平地に乏しく,丘陵を樹枝状に刻む谷底平地だけでなく,高洲山麓の白米(しらよね)(輪島市)の千枚田のように,地すべり地形の傾斜地を階段状に水田化してきた。外浦では漁船による沿海漁業が盛んで,沖合の舳倉(へぐら)島では,輪島市海士(あま)町に居住する人々によるアワビ漁が行われる。内浦は入江が多く,半島の風下側にあたるため定置網漁や養殖漁業が行われる。また丘陵地では,落葉広葉樹を主とする雑木林での製炭が重要な産業であったが,1960年代以降衰退し,過疎化がすすんだ。

 能登半島は輪島市まではJR七尾線(1935全通。91のと鉄道に移管。2001穴水~七尾間廃止),蛸(たこ)島(珠洲(すず)市)までは能登線(1964全通。88のと鉄道に移管。2005廃止)が通じたが,県内でも交通の不便な後進地域であった。こうした後進性と変化に富んだ海岸景観から,1960年代後半ころから秘境ブームに結びついた観光開発がすすみ,国道159号,160号,249号線,能登海浜道路(能登有料道路)などがよく整備されている。内浦にある口能登の中心七尾市は能登最大の都市でもある。奥能登には外浦に輪島市,内浦に珠洲市があり,それぞれの中心地である。
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百科事典マイペディア 「能登半島」の意味・わかりやすい解説

能登半島【のとはんとう】

石川県北部に突出する日本海岸最大の半島。基部は邑知(おうち)潟地溝帯を隔てて宝達(ほうだつ)丘陵に対する。日本海岸を外浦,富山湾岸を内浦と呼ぶ。一般に第三系の低山性の丘陵からなり,平地に乏しく農業は零細。地すべり地に発達した千枚田が特徴的景観をなす。輪島,珠洲,七尾などの都市が海岸に発達,七尾線,のと鉄道が通じ,海岸部は能登半島国定公園に属する。
→関連項目石川[県]内浦[町]邑知潟鹿島[町]志賀[町]珠洲[市]富来[町]七尾[市]能都[町]能登島[町]能登国羽咋[市]氷見[市]門前[町]輪島[市]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「能登半島」の意味・わかりやすい解説

能登半島
のとはんとう

本州中央部から日本海に突出する半島。大部分は石川県,一部は富山県に属する。南西-北東に長く約 100km。大部分は標高 100~300mの新第三紀層の丘陵性の山地で,基部に宝達丘陵,北東部に奥能登丘陵がある。平野は邑知潟平野(おうちがたへいや)以外は小規模である。海岸は日本海に臨む外浦珠洲岬と,富山湾に臨む内浦灘浦に分けられるが,いずれも景勝地が多く,大部分が能登半島国定公園に含まれる。七尾湾には能登島がある。産業は観光,漁業,林業,牧畜および織物,弱電器具の工業で,輪島は漆器を特産。冬季は杜氏として働く人々も多い。古くから海路で九州や山陰地方,さらには渤海,高句麗との交流もあった。海と丘陵の国であり,長く陸上交通より海上交通が主であったため,各地に独特な習俗,行事,祭りが残っている。

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デジタル大辞泉プラス 「能登半島」の解説

能登半島

日本のポピュラー音楽。歌は女性演歌歌手、石川さゆり。1977年発売。作詞:阿久悠、作曲:三木たかし。

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世界大百科事典(旧版)内の能登半島の言及

【石川[県]】より

…面積=4184.83km2(全国35位)人口(1995)=118万0068人(全国36位)人口密度(1995)=282人/km2(全国23位)市町村(1997.4)=8市27町6村県庁所在地=金沢市(人口=45万3975人)郷土の花=クロユリ 県木=アテ 県鳥=イヌワシ本州中央部の日本海沿岸にあり,日本海に長く突出した能登半島と,その基部を占める。東西99.6kmに対し,南北はその2倍の198.8kmある。…

※「能登半島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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