小侍(読み)コザムライ

デジタル大辞泉 「小侍」の意味・読み・例文・類語

こ‐ざむらい〔‐ざむらひ〕【小侍】

年の若い武士。また、身分の低い武士。こさぶらい。
「―の十二、三ばかりなるがあるを召し出でて」〈宇治拾遺・一〉
小侍所」の略。また、そこに属する武士。

こ‐さぶらい〔‐さぶらひ〕【小侍】

こざむらい」に同じ。
「大進将監貞度といふ―、付け侍りける」〈著聞集・五〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「小侍」の意味・読み・例文・類語

こ‐ざむらい‥ざむらひ【小侍】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 諸家に奉公する身分の卑しい侍。年若い侍。また、つまらない武士。小さぶらい。
    1. [初出の実例]「未だ兵衛佐は宗清がもとにおはしければ、尾張守より丹波藤三国弘といふ小侍一人付けられけり」(出典:平治物語(1220頃か)下)
  3. 鎌倉・室町時代、常に幕府に宿衛し、将軍外出のときは随行、警衛するもの。三世勤仕の者の子弟を選んで採り、兼ねて弓馬、管弦蹴鞠(しゅうきく)などを習わせた。恪勤(かくご)。小さぶらい。
    1. [初出の実例]「謂、件宿直人者、右大将家御時、敬神之余、以恪勤〈号小侍〉等番之。毎夜所固宮中也」(出典吾妻鏡‐建保六年(1218)九月一四日)
  4. こざむらいどころ(小侍所)」の略。
    1. [初出の実例]「有宿侍等定。於前代者、可然輩皆雖到于西侍、当時内不手広之間無侍。仍各候小侍、可昵近守護由云々」(出典:吾妻鏡‐承久元年(1219)七月二八日)
  5. こざむらいどころ(小侍所)の別当(べっとう)
    1. [初出の実例]「文永元年甲子〈略〉時宗〈略〉文応元年二月、為小侍」(出典:北条九代記(1333頃)下)
  6. 江戸時代武家に奉公した元服前の少年侍。若党見習の類。こざむ。
    1. [初出の実例]「弟は山下宇内とて、竹中周防殿の小士(コザムライ)など勤め居けり」(出典:随筆・窓のすさみ(1724)三)

こ‐さぶらい‥さぶらひ【小侍】

  1. 〘 名詞 〙こざむらい(小侍)
    1. [初出の実例]「大進将監貞度といふ小さふらいつけ侍りける」(出典:古今著聞集(1254)五)

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世界大百科事典(旧版)内の小侍の言及

【郷士】より

…(1)旧族郷士は,元来は正規の武士になるべきものが,近世初頭あるいはその後になんらかの事情により郷士となったもので,薩摩藩の外城(とじよう)衆,土佐藩の郷士,津藩や近江甲賀郡の無足人十津川郷士などが知られている。日向延岡藩の小侍,郷足軽もこれにあたる。(2)取立郷士の種類はさまざまだが,多額の献金や新田開発などの功により郷士の格を与えられたものである。…

※「小侍」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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