恪勤(読み)カッキン

デジタル大辞泉 「恪勤」の意味・読み・例文・類語

かっ‐きん〔カク‐〕【×恪勤】

[名](スル)職務に励むこと。まじめに勤めること。精勤。かくごん。「精励恪勤
[類語]奮励努力精励頑張る踏ん張る奮闘奮発奮起勉励刻苦粉骨砕身はげ張り切るやり抜く粘る励行刻苦勉励精進精勤努めるいそしむ精出す精を出す精が出る打ち込む注ぎ込む熱を入れる力を入れる馬力を掛ける

かく‐ご【×勤】

《「かくごん」の撥音はつおんの無表記》
かくごん1」に同じ。
平安時代、院・親王家大臣家などに仕えた武士恪勤者。かくごん。
「院の―して侍ひ給ふ、いとかしこし」〈大鏡道隆
中世宿直とのい行列先走りなど、幕府内部の雑役に従事した武士。恪勤者。恪勤の侍。かくごん。
「或は青侍せいし―の前にひざまづく」〈太平記・一二〉

かく‐ごん【×恪勤】

怠けずにまじめに勤めること。精勤。かくご。
「―の薄さに、今日ばかりは慰め侍るを」〈狭衣・一〉
かくご(恪勤)2」に同じ。
かくご(恪勤)3」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「恪勤」の意味・読み・例文・類語

かく‐ご【恪勤】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「かくごん」の撥音無表記 )
  2. 任務や職務などをまじめに勤めること。令制では、官人の勤務評定の際、最も重要な項目の一つとされた。精勤(せいきん)。かくごん。
  3. 平安時代、院、親王家、大臣家、門跡などに仕える侍。また、その侍として仕えること。恪勤者。かくごん。
    1. [初出の実例]「恪勤匪懈者。為一善」(出典:令義解(718)考課)
    2. 「小一条院の御みやたちの御めのとのおとこにて、院の恪勤してさぶらひ給、いとかしこし」(出典:大鏡(12C前)四)
  4. 中世、侍所に属して、宿直や行列の先走りなど、幕府内部の雑役に従事した小役。のちに御末衆(おすえしゅう)と呼ばれた。恪勤侍(かくごのさむらい)。かくごん。
    1. [初出の実例]「後仰千葉四郎胤信。召篠山丹三。可恪勤之由被仰含」(出典:吾妻鏡‐文治五年(1189)一一月一八日)
    2. 「権門高家の武士共、いつしか、諸庭奉行人と成り、或は軽軒香車の後(しりへ)に走り、或は青侍(せいし)挌勤(カクコ)の前に跪(ひざま)づく」(出典:太平記(14C後)一二)

かく‐ごん【恪勤】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ごん」は「勤」の呉音 )
  2. 任務に忠実なこと。怠ることなく勤めること。精勤。かくご。かっきん。
    1. [初出の実例]「然纔行一二、不悉行、良由諸司怠慢不上レ恪勤、遂使下レ名宛員数空廃政事」(出典:続日本紀‐和銅四年(711)七月甲戌)
    2. 「年来公務に恪(カクコム)して誉有りて、謗无し」(出典:将門記承徳三年点(1099))
  3. 平安時代、院、親王家、大臣家、門跡などに仕える侍。また、その侍として仕えること。かくご。
    1. [初出の実例]「近来(このごろ)府に露物不候で、陣恪勤(かくごん)の者共佗申すに依て」(出典:今昔物語集(1120頃か)二八)
  4. かくご(恪勤)

かっ‐きんカク‥【恪勤】

  1. 〘 名詞 〙かくごん(恪勤)〔布令字弁(1868‐72)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「恪勤」の意味・わかりやすい解説

恪勤 (かくご)

宿直,雑役を務めた下級の侍。〈かくごん〉とも読む。平安時代,親王,摂関家等に仕えて宿直や雑役を勤仕する侍を恪勤と呼んだ。武家でも,鎌倉幕府の職制が公家を模したためこの役も設置され,ついで室町幕府にも受けつがれた。身分は,幕府機構の中では侍所に属して営中の雑役に従事した。同じ御所に仕える侍の中でも,将軍に近侍して警衛にあたった上級武士は番衆と呼ばれ,雑役にあたる下級の侍は恪勤と呼ばれて区別されていた。室町中期以降になると恪勤侍は職掌によってさらに御末衆(御末(おすえ))と足軽衆の二つに分けられていたようである。このうちの御末衆は,主として殿中の宿直や配膳を務め,将軍に御膳を進める際には,御末衆が器を捧げて同朋へ渡し,同朋がこれを近侍の御供衆へ渡し,御供衆が将軍の御前に進めた。また足軽衆は,将軍外出にあたって,走衆の下役となってお供に従った。なお,応仁の乱以後は恪勤の役もしだいに絶えていった。
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普及版 字通 「恪勤」の読み・字形・画数・意味

【恪勤】かくきん

つつしみつとめる。〔国語、周語上〕夕恪し、守るに敦篤を以てし、奉ずるに忠信を以てす。奕世(えきせい)を載(おこな)ひ、人を忝(はづかし)めず。

字通「恪」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の恪勤の言及

【恪勤】より

…〈かくごん〉とも読む。平安時代,親王,摂関家等に仕えて宿直や雑役を勤仕する侍を恪勤と呼んだ。武家でも,鎌倉幕府の職制が公家を模したためこの役も設置され,ついで室町幕府にも受けつがれた。…

【小侍所】より

…小侍所には番帳が備えられ,ここから将軍出御の供奉人や弓始の射手などが選ばれた。小侍の配下には,恪勤(かくご),走衆や朝夕雑色(ちようじやくぞうしき),公人(くにん)雑色などが属して雑役などを務めたと考えられる。義教・義政期に整えられる奉公衆(番方)には小侍番の継承発展という性格が認められる。…

※「恪勤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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