デジタル大辞泉
「恪勤」の意味・読み・例文・類語
かく‐ごん【×恪勤】
1 怠けずにまじめに勤めること。精勤。かくご。
「―の薄さに、今日ばかりは慰め侍るを」〈狭衣・一〉
2 「かくご(恪勤)2」に同じ。
3 「かくご(恪勤)3」に同じ。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
Sponserd by 
かく‐ご【恪勤】
- 〘 名詞 〙 ( 「かくごん」の撥音無表記 )
- ① 任務や職務などをまじめに勤めること。令制では、官人の勤務評定の際、最も重要な項目の一つとされた。精勤(せいきん)。かくごん。
- ② 平安時代、院、親王家、大臣家、門跡などに仕える侍。また、その侍として仕えること。恪勤者。かくごん。
- [初出の実例]「恪勤匪レ懈者。為二一善一」(出典:令義解(718)考課)
- 「小一条院の御みやたちの御めのとのおとこにて、院の恪勤してさぶらひ給、いとかしこし」(出典:大鏡(12C前)四)
- ③ 中世、侍所に属して、宿直や行列の先走りなど、幕府内部の雑役に従事した小役。のちに御末衆(おすえしゅう)と呼ばれた。恪勤侍(かくごのさむらい)。かくごん。
- [初出の実例]「後仰二千葉四郎胤信一。召二篠山丹三一。可レ候二恪勤一之由被二仰含一」(出典:吾妻鏡‐文治五年(1189)一一月一八日)
- 「権門高家の武士共、いつしか、諸庭奉行人と成り、或は軽軒香車の後(しりへ)に走り、或は青侍(せいし)挌勤(カクコ)の前に跪(ひざま)づく」(出典:太平記(14C後)一二)
かく‐ごん【恪勤】
- 〘 名詞 〙 ( 「ごん」は「勤」の呉音 )
- ① 任務に忠実なこと。怠ることなく勤めること。精勤。かくご。かっきん。
- [初出の実例]「然纔行二一二一、不レ能二悉行一、良由下諸司怠慢不上レ存二恪勤一、遂使下レ名宛二員数一空廃中政事上」(出典:続日本紀‐和銅四年(711)七月甲戌)
- 「年来公務に恪
(カクコム)して誉有りて、謗无し」(出典:将門記承徳三年点(1099))
- ② 平安時代、院、親王家、大臣家、門跡などに仕える侍。また、その侍として仕えること。かくご。
- [初出の実例]「近来(このごろ)府に露物不候で、陣恪勤(かくごん)の者共佗申すに依て」(出典:今昔物語集(1120頃か)二八)
- ③ ⇒かくご(恪勤)③
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
Sponserd by 
恪勤 (かくご)
宿直,雑役を務めた下級の侍。〈かくごん〉とも読む。平安時代,親王,摂関家等に仕えて宿直や雑役を勤仕する侍を恪勤と呼んだ。武家でも,鎌倉幕府の職制が公家を模したためこの役も設置され,ついで室町幕府にも受けつがれた。身分は,幕府機構の中では侍所に属して営中の雑役に従事した。同じ御所に仕える侍の中でも,将軍に近侍して警衛にあたった上級武士は番衆と呼ばれ,雑役にあたる下級の侍は恪勤と呼ばれて区別されていた。室町中期以降になると恪勤侍は職掌によってさらに御末衆(御末(おすえ))と足軽衆の二つに分けられていたようである。このうちの御末衆は,主として殿中の宿直や配膳を務め,将軍に御膳を進める際には,御末衆が器を捧げて同朋へ渡し,同朋がこれを近侍の御供衆へ渡し,御供衆が将軍の御前に進めた。また足軽衆は,将軍外出にあたって,走衆の下役となってお供に従った。なお,応仁の乱以後は恪勤の役もしだいに絶えていった。
執筆者:二木 謙一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
Sponserd by 
普及版 字通
「恪勤」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
Sponserd by 
世界大百科事典(旧版)内の恪勤の言及
【恪勤】より
…〈かくごん〉とも読む。平安時代,親王,摂関家等に仕えて宿直や雑役を勤仕する侍を恪勤と呼んだ。武家でも,鎌倉幕府の職制が公家を模したためこの役も設置され,ついで室町幕府にも受けつがれた。…
【小侍所】より
…小侍所には番帳が備えられ,ここから将軍出御の供奉人や弓始の射手などが選ばれた。小侍の配下には,恪勤(かくご),走衆や朝夕雑色(ちようじやくぞうしき),公人(くにん)雑色などが属して雑役などを務めたと考えられる。義教・義政期に整えられる[奉公衆](番方)には小侍番の継承発展という性格が認められる。…
※「恪勤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
Sponserd by 