日本大百科全書(ニッポニカ) 「小児湿疹」の意味・わかりやすい解説
小児湿疹
しょうにしっしん
小児にみられる湿疹性疾患をいう。日常外来の小児の皮膚疾患のうち、湿疹の占める割合は約50%である。成人にみられる湿疹性疾患はすべて小児にもおこる。小児湿疹としてもっとも多いのはアトピー性皮膚炎で、約40%を占める。次に多いのは一次性刺激性皮膚炎を含めた接触皮膚炎で約8%であるが、これには小児特有の病型がある。おむつ皮膚炎は、ぬれたおむつに密着した臀部(でんぶ)、陰部、下腹部、上大腿(だいたい)部に尿あるいは便の成分の刺激による紅斑(こうはん)が現れ、ついでぶつぶつ(丘疹(きゅうしん))と小さい水ぶくれ(小水疱(すいほう))が生じ、ただれもする。治癒に向かうと皮がむくれて(鱗屑(りんせつ))かさかさになる。口の周りには唾液(だえき)あるいは食物の一次性刺激によっておこる口囲赤色湿疹がある。運動靴皮膚炎(ズック靴皮膚炎)では、足底の末梢(まっしょう)3分の1のところが軽度に発赤し、乾燥してかさかさとなり、皮膚が割れて亀裂(きれつ)を形成する。靴の中に入り込んだ砂による刺激のためといわれるがアトピー体質のある小児に生じやすい。
[伊崎正勝・伊崎誠一]