小尉(読み)こじょう

精選版 日本国語大辞典 「小尉」の意味・読み・例文・類語

こ‐じょう【小尉】

〘名〙
能面の一つ。脇能(わきのう)に登場する老人役のシテがつける面で、老人の面の代表的なもの。品位高く、清楚、優雅なおもかげで、室町時代小牛清光創作といわれる。「高砂」「養老」などに用いられる。小牛尉(こうしじょう)
※禅鳳雑談(1513頃)上「まへをこぜうの面にて、入はどうじの面、近比出き能にて、今にわすれがたく候」
② ちっぽけな年寄。老人が自分をへりくだっていう語。
※謡曲・雨月(1470頃)「ここはもとより所から、年も津守の小尉なれば」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「小尉」の意味・読み・例文・類語

こ‐じょう【小尉】

能面の一。気品のある老人面。室町初期の面打ち小牛清光の創作といわれ、脇能物前ジテなどに用いる。小牛尉こうしじょう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の小尉の言及

【能面】より

…先行芸能のなかで成立した翁系の諸面を別にすると,(1)尉,(2)鬼,(3)男,(4)女,のように大別するのも一つの方法である。(1)の尉面では小尉(小牛尉),阿古父(阿瘤)(あこぶ)尉,朝倉尉,笑(わらい)尉,皺(しわ)尉などが典型的な型で,石王兵衛の創作した石王(いしおう)尉,三光坊の三光尉などがこれに加わる。(2)は口を開いた阿(あ)形と,閉じた吽(うん)形に分けることができ,前者には飛出(とびで)の,後者には癋見(べしみ)の諸面があり,年たけて威力のある悪尉の諸種もここに入れてよいであろう。…

※「小尉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android