崔寔(読み)さいしょく(その他表記)Cuī Shí

改訂新版 世界大百科事典 「崔寔」の意味・わかりやすい解説

崔寔 (さいしょく)
Cuī Shí

中国,後漢の人。字は子真。一名台,字は元始ともいう。安平県(河北省深県北)出身。生卒については順帝期(126-144)に生まれ,霊帝建寧年間(168-172)に没したことしかわからない。桓帝のとき,郎官になり当時の政治を論じた《政論》を著し,法家思想よりのその主張が評判となる。以後,五原太守,遼東太守などを歴任碑文銘文,詩など著作は15編にのぼり,なかでも後漢期の豪族の年中行事記《四民月令》は有名である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「崔寔」の意味・わかりやすい解説

崔寔
さいしょく
Cui Shi; Ts`ui Shih

中国,後漢の官僚。冀州安平 (河北省深県) の人。字は子真。崔いんの孫。2世紀中頃,大将軍梁冀に仕え,五原太守となったが,梁冀の誅滅失脚,のち尚書となり,建寧年間 (168~172) に没した。北部辺境地帯の事情に精通し,『政論』を著わして政治を論じた。また名高い農書『四民月令』がある。

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世界大百科事典(旧版)内の崔寔の言及

【四民月令】より

…中国,後漢後期の崔寔(さいしよく)の著。四民とは士農工商,すなわちすべての人のこと。…

【農事暦】より

…先秦の月令や《夏小正》《礼記(らいき)》月令などには12ヵ月に関連する天象,物候,農耕,狩猟のことが書かれているが,天の運行に従う四時の政治の基準を示す立場のものである。月令が年間の農作業を主とするようになって農事暦的性格を強めたのは,後漢の豪族で荘園主でもあった崔寔(さいしよく)が,荘園経営の立場から荘園内の人々のなすべき仕事を各月ごとにまとめた《四民月令(しみんげつれい)》からということができよう。以後,各時代の農事暦をあげれば,《玉燭宝典》(隋,杜台卿),《四時纂要》(唐末五代,韓顎),《農桑衣食撮要》(元,魯明善),《養余月令》(明,戴羲),《農圃便覧》(清,丁宜曾)などがある。…

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