巣くう（読み）スクウ

デジタル大辞泉

す‐く・う〔‐くふ〕【巣くう】

［動ワ五（ハ四）］
１ 巣を作ってすむ。「軒にツバメが―・う」
２ よくない人間が集まって住む。「暴力団の―・う町」
３ 悪い考えや病気などが宿る。「妄想が―・う」「病魔が―・う」
[類語]生息・群棲・帰化・移入・巣立ち・回遊

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

す‐く・う‥くふ【巣くう】

1. 〘 自動詞 ワ行五（ハ四） 〙
2. ① （鳥などが）巣をつくる。巣をつくって住む。
   1. [初出の実例]「鵲(かささき)二隻を献る。〈略〉枝(きのえた)に巣(スクヒ)て産めり」(出典：日本書紀（720）推古六年四月（岩崎本訓）)
3. ② 人が集まって住む。たまりにする。多く好ましくない者やその仲間がたむろすることをいう。
   1. [初出の実例]「楽(たのしみ)、囿(まどか)にして班を馴(なつ)け、阿(くま)に巣(すク)ひて律を響(ひび)かす」(出典：大唐三蔵玄奘法師表啓平安初期点（850頃）)
   2. 「浅草に巣食(スク)ふ人力車夫程の、罪悪も犯してゐないのだから」(出典：浅草紅団（1929‐30）〈川端康成〉一)
4. ③ 心の中に考えが宿ったり、また、体内に病気がはびこったりすることをたとえていう語。
   1. [初出の実例]「夫の胸に巣くふ可恐しい病毒」(出典：家（1910‐11）〈島崎藤村〉下)

出典　精選版 日本国語大辞典