日本大百科全書(ニッポニカ) 「巣湖」の意味・わかりやすい解説
巣湖
そうこ / チャオフー
中国、安徽(あんき)省中部、皖中(かんちゅう)平原北部にある湖。鳥の巣の形をしていることからこの名がある。別称焦湖(しょうこ)。面積約820平方キロメートル。第四紀中期に構造盆地が沈降して形成された。西方の丘陵より杭埠(こうふ)河、南淝(なんひ)河など多くの川が流入し、東から運漕(うんそう)河(裕渓(ゆうけい)河)により揚子江(ようすこう)に流出する。雨期には揚子江の水が逆流するが、1960年代に水門が相次いで完成し、洪水を防いでいる。周囲には網の目のように水路網が発達した広大な水田地帯が広がる。魚やエビ、カニが豊富で、灌漑(かんがい)、水運にも利用される。近年、巣湖開発公司(コンス)が設立され、灌漑、養殖、観光事業などの総合開発に取り組んでいる。また湖中にある姥山(ぼざん)・姑山(こざん)などの島のほか、旧跡にも富み、風光明媚(めいび)の地として知られる。
[林 和生]