巻鬚(読み)まきひげ(その他表記)tendril

翻訳|tendril

精選版 日本国語大辞典 「巻鬚」の意味・読み・例文・類語

まき‐ひげ【巻鬚】

  1. 〘 名詞 〙 葉・茎の一部変形して細長いつる状となったもの。他物に巻きついて植物体の保持安定を保つ。エンドウは葉、サルトリイバラ托葉ブドウは茎の変形である。けんしゅ。〔生物学語彙(1884)〕

けん‐しゅ【巻鬚】

  1. 〘 名詞 〙まきひげ(巻鬚)〔植学訳筌(1874)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「巻鬚」の意味・わかりやすい解説

巻鬚 (まきひげ)
tendril

単独では直立できない植物体がその一部で他物に巻きついて高く伸長できるように特殊に変形したもの。茎自体が他物に巻きつく場合はつるという。茎が変形したものがブドウ,エンドウ,カボチャ,サルトリイバラなどに,葉のうち葉柄が変形したものがボタンヅル,ノウゼンハレンに,小葉の変形したものがエンドウに,葉全体が巻きひげになって光合成はその両側の1対の托葉によるものがレンリソウの1種Lathyrus aphacaに,根の変形したものがビロードカズラにと,いろいろの器官から変形したものが,さまざまの分類群に系統とは無関係にみられる。また,巻きひげの巻き方が左巻きか右巻きかは種によって決まっている場合とそうでないこととがある。巻きひげが他物に付着するのは,先端付近に接触すべき他物を感知し,その方に伸長していく性質によることが知られており,その性質を屈触性thigmotropismというが,屈触の機作についてはまだ十分説明できるほどはわかっていない。
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世界大百科事典(旧版)内の巻鬚の言及

【葉】より

…被子植物の葉には葉柄の基部近くに托葉stipuleをつけるものがある。 葉から変態してつくられた相同器官には,サボテンのとげ,エンドウなどの巻きひげ,ウツボカズラの漏斗状の補虫器官などいろいろの例があげられるが,最も顕著なものとしては,花被片をはじめとする花を構成する要素への変態があげられる(図3)。
[構造]
 被子植物の葉は,外側に1層(まれに多層になることもある。…

※「巻鬚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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