茎があまり発達せず,他物に依存して上昇するようになった場合,よじのぼるように変形した茎をつるといい,そのような生活形をもつ植物をつる植物とかよじのぼり植物(纏繞(てんじよう)植物)という。つるが支持体によりかかるには,ひっかかる,巻きかかる,粘着する,巻き締めるなどの方法があり,木本にも草本にもつる性のものがみられる。熱帯地方で森林の林縁や,何らかの原因で極相の状態が崩されたところには,つる植物が種類でも個体数でも非常に多い。日本も多湿な気候のためつる植物が多く,欧米の植物学者は日本の植生を見て熱帯的景観のように思うことが多いようである。フジやイワガラミは茎が肥大する木本性で,クズ,アサガオ,ヤマノイモなどは草本の例である。茎を機械的に支持する組織は発達していないが,たとえば師管が長く伸びたり,道管の揚水力がきわめてすぐれていたりというような特殊な性質もみられる。
執筆者:岩槻 邦男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
…単独では直立できない植物体がその一部で他物に巻きついて高く伸長できるように特殊に変形したもの。茎自体が他物に巻きつく場合はつるという。茎が変形したものがブドウ,エンドウ,カボチャ,サルトリイバラなどに,葉のうち葉柄が変形したものがボタンヅル,ノウゼンハレンに,小葉の変形したものがエンドウに,葉全体が巻きひげになって光合成はその両側の1対の托葉によるものがレンリソウの1種Lathyrus aphacaに,根の変形したものがビロードカズラにと,いろいろの器官から変形したものが,さまざまの分類群に系統とは無関係にみられる。…
※「蔓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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