市中肺炎(読み)しちゅうはいえん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「市中肺炎」の意味・わかりやすい解説

市中肺炎
しちゅうはいえん

在宅で普通の社会生活をおくっている人に発症する肺炎。医療施設内で入院中に発症する院内肺炎に対することばとして、院外肺炎ともよばれる。健常者に発症するもののほかに、基礎疾患があって在宅療養中の患者や高齢者に発症するものも含まれる。在宅医療の普及と社会の高齢化に伴い、在宅療養患者や高齢者の発症が増えている。

 原因となる病原微生物別に、細菌性肺炎(定型肺炎)と非定型肺炎に分類される。細菌性肺炎の原因となる細菌では肺炎球菌がもっとも多く、ほかにインフルエンザ菌、肺炎桿菌(かんきん)、ブドウ球菌などがある。非定型肺炎の原因となるのはマイコプラズマがもっとも多く、ほかにレジオネラクラミジアなどがある。治療は、ペニシリン系抗生物質やβ(ベータ)ラクタム薬、セフェム系抗生物質およびカルバペネム系抗生物質などのほか、非定型肺炎にはマクロライド系やテトラサイクリン系抗生物質を用い、重症例では入院治療が必要となる。

[編集部 2016年7月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

家庭医学館 「市中肺炎」の解説

しちゅうはいえんいんがいはいえん【市中肺炎(院外肺炎) Community-Acquired Pneumonia】

◎細菌性と非細菌性がある
 日常生活を送っている人が、病医院の外で感染し発症する肺炎が市中肺炎で、細菌性と非細菌性があります。
 1993年度の厚生省(現厚生労働省)の調査によると、日本で肺炎のために医療機関を受診する患者数は、全体でみると人口10万人あたり19人ですが、65歳以上の高齢者にかぎってみると、10万人あたり83人と大きく増えています。
 一口に市中肺炎といっても、年齢や別の病気をもっているかどうかなどによって、原因となる微生物、症状や治療もかなりちがいます。

出典 小学館家庭医学館について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android