日本大百科全書(ニッポニカ) 「市中肺炎」の意味・わかりやすい解説
市中肺炎
しちゅうはいえん
在宅で普通の社会生活をおくっている人に発症する肺炎。医療施設内で入院中に発症する院内肺炎に対することばとして、院外肺炎ともよばれる。健常者に発症するもののほかに、基礎疾患があって在宅療養中の患者や高齢者に発症するものも含まれる。在宅医療の普及と社会の高齢化に伴い、在宅療養患者や高齢者の発症が増えている。
原因となる病原微生物別に、細菌性肺炎(定型肺炎)と非定型肺炎に分類される。細菌性肺炎の原因となる細菌では肺炎球菌がもっとも多く、ほかにインフルエンザ菌、肺炎桿菌(かんきん)、ブドウ球菌などがある。非定型肺炎の原因となるのはマイコプラズマがもっとも多く、ほかにレジオネラやクラミジアなどがある。治療は、ペニシリン系抗生物質やβ(ベータ)ラクタム薬、セフェム系抗生物質およびカルバペネム系抗生物質などのほか、非定型肺炎にはマクロライド系やテトラサイクリン系抗生物質を用い、重症例では入院治療が必要となる。
[編集部 2016年7月19日]