帰雲城(読み)かえりくもじょう

日本の城がわかる事典 「帰雲城」の解説

かえりくもじょう【帰雲城】

岐阜県大野郡白川村の帰雲山(標高1622m)の山中にあったとされる城。寛正年間(1461~66年)に内ヶ島氏が築城し、居城としていたとされているが、築城年代・築城者は不明。この城の存在、城のあった場所を含め、謎の多い幻の城である。1585年(天正13)、豊臣秀吉の部将金森長近は、三木自綱(これつな)の松倉城(高山市)を攻略して飛騨を平定した。このとき、帰雲城主の内ヶ島氏理は、秀吉と敵対する佐々成政援軍として越中(富山県)に出陣していたが、長近の飛騨平定の報を聞いて帰城し、鍋山城(高山市)に駐屯していた長近のもとへ赴いて帰順を願い出て許された。願泉寺(大阪府貝塚市)の住職道喜(宇野主水)が安土桃山時代に書き残した『貝塚御座所日記』によると、その3ヵ月後の1586年(天正14)11月29日に起こった天正大地震で、帰雲山の西側山腹が大規模に崩落し、内ヶ島氏とともに城やその城下町が一瞬のうちに埋没して滅亡したとされている。内ヶ島氏はもともと鉱山師で大量の金を所有していたとされるが、その時、城とともに土石流に埋没したという埋蔵金伝説がある。現在、城のあった場所は特定されていない。JR高山本線の高山駅からバス・タクシー。

出典 講談社日本の城がわかる事典について 情報

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