平中説話(読み)へいちゅうせつわ

百科事典マイペディア 「平中説話」の意味・わかりやすい解説

平中説話【へいちゅうせつわ】

平貞文〔?-923年〕を主人公とする説話群。貞文は色好みとして名高く在原業平とともに在中・平中と並称された。《平中物語》全39話や《大和物語》46・64・103段では和歌を中心とした構成で,いまだ滑稽譚にはなっていない。平中は《源氏物語》の〈末摘花〉で〈平中がやうに色どり添へたまふな〉,〈若菜上〉では〈平中が真似ならねどまことに涙もろになむ〉と墨塗りの失敗が紹介されるが,これは《古本説話集》上19所収話に共通するもので,女性に恋をしかけるのにニセの涙を流してみせるのを常としていたところ,水と思ってつけたものがすりかえられた墨であったために,目のまわりが黒くなってしまうという話。《今昔物語集》巻22―8,30―1,30―2や《宇治拾遺物語》50,《十訓抄》1―29などでも,もっぱら滑稽さが強調されている。

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