平和祈念事業特別基金(読み)へいわきねんじぎょうとくべつききん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「平和祈念事業特別基金」の意味・わかりやすい解説

平和祈念事業特別基金
へいわきねんじぎょうとくべつききん

第二次世界大戦での恩給欠格者、戦後強制抑留者、引揚者等に対して慰労品贈呈事業などを行った独立行政法人。2003年(平成15)10月に独立行政法人平和祈念事業特別基金等に関する法律(昭和63年法律第66号)により設立された。本部所在地は東京都新宿区若松町。総務省が所管していたが、2013年4月に解散した。

 戦後処理を進めるにあたり、軍人軍属でありながら恩給受給のための年限に達しない恩給欠格者、戦後もシベリア等に強制的に抑留された強制抑留者、引揚者等に対しての補償を求める動きが高まり、1988年(昭和63)「平和祈念事業特別基金等に関する法律」が成立し、基金が設立された。政府は資本金10億円を出資し、200億円まで追加出資することとなった。その基金を運用する機関として認可法人の平和祈念事業特別基金が発足し、関係者への慰労品の贈呈、慰労金の支給などを行った。2003年に「中央省庁等改革」の一環として独立行政法人となる。

 基金の業務は、(1)戦争による労苦を物語る日記・手帳手紙や写真、映像資料など関係資料の収集・保管・展示、調査研究、(2)戦争体験記録等の出版、頒布、講演会の実施、(3)恩給欠格者など関係者への慰謝の念を示す事業を行うことなどであった。また2010年、「戦後強制抑留者に係る問題に関する特別措置法」(平成22年法律第45号)が成立し、基金は帰国した戦後強制抑留者で日本国籍を有する存命者に特別給付金を支給する事務手続を受け持った。この間2009年までに書状や特別慰労品の贈呈を終え、2010年には平和祈念展示資料館(東京都新宿区)と戦後強制抑留・引揚死没者慰霊碑の管理運営を国へ移した。戦後強制抑留者に対する特別給付金支給事業の受付は2012年3月に終了、本特別基金は2013年4月に解散した。2013年3月時点での資本金は1億円、職員数は14人。

[編集部]

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