改訂新版 世界大百科事典 「平均黄経」の意味・わかりやすい解説
平均黄経 (へいきんこうけい)
mean longitude
月や惑星の軌道要素の一つで,その天体の経度を示すもの。春分点からはかった軌道と黄道面との交点すなわち昇交点の黄経と,昇交点からはその天体の軌道に沿ってはかった経度を加えたもの。実際の黄経は,その天体が楕円軌道を描いているための中心差と,他の天体の引力による摂動を補正し,その天体の軌道面から黄道面への引直しを行って得られる。平均黄経はある時刻における定数と,時間に比例する一次項,時間の2乗に比例する二次項,さらに必要なら時間に対する高次の項を加えて表現され,これらの係数には歳差の分も含んでいるが,章動は含まれていない。上のものとは別に,一般に天体の黄経で歳差だけを考慮したものも平均黄経と呼ばれる。
執筆者:古川 麒一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報