花弁以外の器官が花弁に似た色や形になることをいう。弁化には、種類の通性である場合と、奇形的に生じる場合とがある。ミズバショウの白い仏炎包、ヤマボウシやアメリカヤマボウシの白ないし紅色の総包片、ウスユキソウでは白色、ポインセチアでは赤色の花序に近い葉、アジサイ属の装飾花の白・青・紅色などの萼片(がくへん)は、それぞれが通性としてもつ弁化の例である。
奇形的に弁化を示す植物は、その珍しさや美しさのために園芸植物となっていることが多い。八重咲きの花は多くの場合、すべての雄しべ、または何本かの雄しべが弁化したものであり、なかには心皮までもが弁化したものもある。ツツジ類、キキョウなどには、萼が花冠状となった二重咲きの奇形がある。これは個々の萼片が1枚の花弁状となったものではないが、この現象も弁化という。園芸品種として安定していない奇形的な弁化は、観賞の機会が少ないが、チューリップの花茎の上のほうにつく葉が花被片(かひへん)と同色を示したり、ヤマボウシの花序の近くで普通葉のあるべき位置に総包片と類似のものが生ずるなどがまれにみられる。逆に、花弁、雄しべ、心皮などが緑色の小さな葉の形となる奇形もあり、これは葉化とよばれる。こうした弁化や葉化の現象があるということは、それらの現象を示す器官は互いに相同である、すなわち、すべて葉であると考えることの根拠となる。
[福田泰二]
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