ヤマボウシ(読み)やまぼうし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤマボウシ」の意味・わかりやすい解説

ヤマボウシ
やまぼうし / 山法師
[学] Cornus kousa Buerger ex Hance

ミズキ科(APG分類:ミズキ科)の落葉高木。高さ10メートルに達する。幹は灰褐色。葉は対生し、楕円(だえん)形または卵円形で長さ4~12センチメートル、全縁。花は6~7月に開き、淡黄色で小さく、多数が球状に集合し、大形の花弁状で白色の総包片が4枚ある。総包片のない大形の散房花序をつける同属のミズキより進化した植物と考えられている。果実球形で径1~1.5センチメートル、赤く熟し、食べられる。山地に普通に生え、本州から九州、および朝鮮半島、中国に分布する。名は、頭状花序を僧兵の頭に見立て、また白い総包片を頭巾(ずきん)に見立てたもの。果実が食用となるため、山に生える桑という意味からヤマグワともいわれるが、同名のクワ科のヤマグワとはまったくの別種である。材は器具材として用いる。

[門田裕一 2021年3月22日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤマボウシ」の意味・わかりやすい解説

ヤマボウシ(山法師)
ヤマボウシ
Cornus kousa; Japanese strawberry tree

ミズキ科の落葉高木で,ヤマグワともいう。北海道を除く日本各地および朝鮮半島に分布し,各地の山野に普通にみられる。幹は直立し高さ 10mに達し多数分枝する。葉は対生し,楕円形ないし卵円形で長さ6~10cmになり,全縁で多少波状にうねる傾向がある。下面の葉脈の分岐点には褐色の毛がある。初夏から夏に,短枝の先端に短い柄のある頭状花序をつける。この花序全体を4枚の大きな白色の包葉が包み,これが花弁のようにみえる。本来の花は小さく,淡黄色の目立たない花弁4枚とおしべ4本,めしべ1本でできていて,数個ずつ頭状に集る。果実は球形の集合果となり,秋に赤熟して食べられる。しばしば植物園や庭園に植えられる同属のハナミズキ (花水木)は,アメリカ原産で早春に開花し,総包片が淡紅色になるものがあり,果実は集合果とならない。

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