ミズバショウ(読み)みずばしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミズバショウ」の意味・わかりやすい解説

ミズバショウ
みずばしょう / 水芭蕉
[学] Lysichiton camtschatcensis (L.) Schott

サトイモ科(APG分類:サトイモ科)の多年草。太い根茎がある。葉は根茎に束生し、楕円(だえん)形で成熟時には長さ60センチメートルを超える。花序は根生し、10~30センチメートルの花柄があり、5~7月、葉に先だって展開する。肉穂花序は円柱状で密に両性花をつけ、初めは黄色で長さ3~5センチメートル、しだいに大きくなり、黄緑色となる。花柄の基部に白色で大形の仏炎包(ぶつえんほう)がつき、花柄と花序を囲む。液果は花軸に埋まり、緑色に熟す。寒地の湿原に群生し、本州、北海道、および千島カムチャツカ樺太(からふと)(サハリン)、ウスリーに分布する。名は、水辺に生え、葉がバショウに似ることによる。北アメリカには仏炎包が黄色のアメリカミズバショウL. americanus Hult. et St.Johnがある。

[邑田 仁 2022年1月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミズバショウ」の意味・わかりやすい解説

ミズバショウ(水芭蕉)
ミズバショウ
Lysichiton camtschatcense var. japonicum

サトイモ科の多年草。本州中部以北の日本,サハリン,シベリア東部,千島,カムチャツカの寒帯から温帯に分布し,山地の湿原に生える。地下茎は太く横にはい,じょうぶなひげ根を多数出す。葉は花が終ったあと花茎の側方に出て大型の長楕円ないし長楕円状披針形,全縁で葉柄は長く,淡緑色である。これをバショウの葉に見立ててこの名がある。5~7月に,雪がとけた直後に花茎の上部に1個の円柱形の肉穂花序をなして多数の花がつく。花序全体が白色の大型の仏炎包で包まれる。花は淡緑色で花被4枚,おしべ4本,めしべ1本がある。果実は液果で,花軸を埋めてつき,中に2個の種子がある。

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