日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポインセチア」の意味・わかりやすい解説
ポインセチア
ぽいんせちあ
poinsettia
[学] Euphorbia pulcherrima Willd. ex Klotzsch
トウダイグサ科(APG分類:トウダイグサ科)の不耐冬性低木。和名ショウジョウボク(猩々木)。メキシコ原産。茎は伸ばせば4~5メートルにもなるが、普通30~50センチメートルの丈に育て、おもに鉢物、まれに切り花として利用する。短日性植物で、12月ころに開花するので、クリスマスの花として広く用いる。葉は卵状楕円(だえん)形または披針(ひしん)形で、やや大きい。短日になると茎頂に花芽を形成して小花を開くが、その周りに展開する包葉が美しく着色し、観賞の対象になる。包葉は普通赤色であるが、桃、淡黄白色などもある。ショウジョウボクの名は、赤色の包葉を猩々(想像上の動物で、サルの一種であるとする)の顔に見立てたもの。品種も多く、低温でも長もちするアンネット・ヘッグ、ダークレッドなどのほか、グートビーア、V‐10やV‐14が広く栽培される。繁殖は挿芽により、鉢上げ後、一度摘心して茎を数本立ちにする。茎が伸びるときは矮化(わいか)剤を散布して丈を適度に抑え、眺めやすい姿に育てる。十分日に当て、冬季は最低8℃以上に保つ。
[植村猶行 2020年6月23日]
文化史
ポインセチアの名は、メキシコの歴史にまつわる。アメリカの初代メキシコ大使ジョエル・ポインセットJoel Robert Poinset(1779―1851)は、メキシコ内乱に介入した責任をとらされ、大使を解任された。帰国の際に花木を持ち帰ったが、その一つに、アメリカの植物学者グラハムがポインセットを記念し、ポインセチア属Poinsetiaを設けた。ポインセチア属は現在はトウダイグサ属Euphorbiaに移されているが、ポインセチアの名は一般名称として残った。
[湯浅浩史 2020年6月23日]