クリスマスのころに花が咲き,同時に花をとりまく大きな苞葉が真っ赤に色づき花のように美しいトウダイグサ科の常緑低木。ショウジョウボク(猩々木)ともいう。年の暮れに鉢物や切花として広く利用されている。原産地はメキシコ。日本へは明治時代に渡来した。熱帯・亜熱帯地方では高さ5mにもなり,庭木としてよく植えられている。葉は互生し,卵状楕円形で周囲は角ばる。枝葉を傷つけると白色の有毒な乳汁が出る。枝の先端は花枝になり,小さなつぼ形をした花のように見える花序が十数個つき,1個ずつのみつ腺をもつ。花序の基部には大きな苞葉が十数枚つき,11月ころから12月にかけて紅色に色づく。改良された品種によっては淡紅色,黄色,白色のものもあり,また苞葉がたくさんつき八重咲きのように見えるものもある。四倍体品種も多く栽培されているが,苞葉が肉厚で大きく,観賞価値の高いものが多い。
ポインセチアは短日で開花する性質があるので,日本では日が短くなった初冬から花をつける。暖地の戸外でもそのころ苞葉は色づくが,温度不足のため小さく,着色も不良である。順調に生育させるには15℃以上が必要とされる。繁殖は挿木による。時期は鉢物用の場合は6月から8月上旬ころまでで,早く挿すと丈が高くなりすぎる。切花用の場合は5~6月に挿す。近縁のショウジョウソウE.heterophylla L.(英名Mexican fire-plant)は本種によく似ているが,北アメリカ南部から南アメリカ原産の一年草で,ときに庭園で栽植される。
執筆者:古里 和夫
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トウダイグサ科(APG分類:トウダイグサ科)の不耐冬性低木。和名ショウジョウボク(猩々木)。メキシコ原産。茎は伸ばせば4~5メートルにもなるが、普通30~50センチメートルの丈に育て、おもに鉢物、まれに切り花として利用する。短日性植物で、12月ころに開花するので、クリスマスの花として広く用いる。葉は卵状楕円(だえん)形または披針(ひしん)形で、やや大きい。短日になると茎頂に花芽を形成して小花を開くが、その周りに展開する包葉が美しく着色し、観賞の対象になる。包葉は普通赤色であるが、桃、淡黄白色などもある。ショウジョウボクの名は、赤色の包葉を猩々(想像上の動物で、サルの一種であるとする)の顔に見立てたもの。品種も多く、低温でも長もちするアンネット・ヘッグ、ダークレッドなどのほか、グートビーア、V‐10やV‐14が広く栽培される。繁殖は挿芽により、鉢上げ後、一度摘心して茎を数本立ちにする。茎が伸びるときは矮化(わいか)剤を散布して丈を適度に抑え、眺めやすい姿に育てる。十分日に当て、冬季は最低8℃以上に保つ。
[植村猶行 2020年6月23日]
ポインセチアの名は、メキシコの歴史にまつわる。アメリカの初代メキシコ大使ジョエル・ポインセットJoel Robert Poinset(1779―1851)は、メキシコ内乱に介入した責任をとらされ、大使を解任された。帰国の際に花木を持ち帰ったが、その一つに、アメリカの植物学者グラハムがポインセットを記念し、ポインセチア属Poinsetiaを設けた。ポインセチア属は現在はトウダイグサ属Euphorbiaに移されているが、ポインセチアの名は一般名称として残った。
[湯浅浩史 2020年6月23日]
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