御義口伝(読み)おんぎくでん

精選版 日本国語大辞典 「御義口伝」の意味・読み・例文・類語

おんぎくでん【御義口伝】

日蓮宗の書。二巻。日蓮身延山で、いわゆる六老僧懇願により建治年中(一二七五‐七八)に口述し、それを日興が筆記したもの。法華経に関する日蓮の解釈内容とする。就註法華経御義口伝。

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改訂新版 世界大百科事典 「御義口伝」の意味・わかりやすい解説

御義口伝 (おんぎくでん)

《就注法華経御義口伝》《日興記》とも称す。1571年(元亀2)の写本大石寺要法寺にあり,1654年(承応3),1721年(享保6),1751年(宝暦1)に出版。1278年(弘安1)日蓮の高弟日興が日蓮の法華経の講義を筆録したとあるが,最近では書誌学的・教学的考察から偽撰説が定着しつつある。上巻は同経の題目と序品以降涌出(ゆじゆつ)品まで,下巻は寿量品から末尾までと無量義経,観普賢経および別伝,総計231ヵ条(1654年の版本は229ヵ条)。中古天台の影響をうけて,日興門流のなかで室町時代に成立したと考えられ,日蓮には見られなかった本覚思想にもとづく強い観心主義の傾向がある。同種のものに《御講(おんこう)聞書》がある。
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