要法寺(読み)ようぼうじ

精選版 日本国語大辞典 「要法寺」の意味・読み・例文・類語

ようぼう‐じ エウボフ‥【要法寺】

京都市左京区法皇寺町にある日蓮本宗の大本山山号は多宝富士山。正和四年(一三一五)日尊が建立した上行院に始まる。貞和年間(一三四五‐五〇)日尊の弟子日大が住本寺を開創天文五年(一五三六)叡山の徒に焼打ちされたのち、両寺を合併して同一九年現寺号を称して再興。慶長年間(一五九六‐一六一五)、日性が銅活字によって開板した版本類は、要法寺版といわれ、日本印刷史上重視されるもの。松の寺。

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デジタル大辞泉 「要法寺」の意味・読み・例文・類語

ようぼう‐じ〔エウボフ‐〕【要法寺】

京都市左京区にある日蓮本宗の本山。山号は、多宝富士山。延元4=暦応2年(1339)日尊が開創の上行院と、その弟子日大が開創の住本寺が、天文19年(1550)合併、要法寺として再興。

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日本歴史地名大系 「要法寺」の解説

要法寺
ようぼうじ

[現在地名]高知市筆山町

真如寺しんによじ山北東麓にある。日蓮宗。神力山と号し、本尊は十界大曼荼羅。

「南路志」所収の寺記によると、文亀年中(一五〇一―〇四)近江国長浜ながはまに日仁が開基、甲斐国身延山久遠寺末となったのを始まりとする。のち山内一豊が長浜城主となった時、山内氏の菩提寺となったという。一豊が遠江国掛川かけがわ城主となった際、当寺四世日遠も同行、寺も掛川に移した。天正一八年(一五九〇)のことという。さらに慶長五年(一六〇〇)山内氏土佐移封にも同行、吾川あがわ浦戸うらどに移った。

要法寺
ようぼうじ

[現在地名]左京区法皇寺町

寺門は南面し三条通北側奥に位置する。多宝富士山と号する日蓮本宗の本山。正式には本山要法寺と称する。本尊十界大曼荼羅。日尊を開山とし法華宗上行じようぎよう院がその前身。日尊ははじめ天台僧であったが、日蓮の本弟子六人の一人富士日興に帰依、正和四年(一三一五)六角油ろつかくあぶら小路(現京都市中京区)に一宇を創し、上行院と称した(坊目誌)。以後、天文法華の乱によって京都を追われるまで寺地は変わらず、洛内法華宗二十一本山の一つとして勢力を張ったが、法難に際しては和泉さかい(現大阪府堺市)に難を避けた。天文一一年(一五四二)洛内還住勅許によって京都に帰り(両山歴譜)、五条坊門堀川ぼうもんほりかわ(現京都市下京区)に寺地を移し、このとき上行院と住本じゆうほん寺を合して要法寺と称した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「要法寺」の意味・わかりやすい解説

要法寺
ようぼうじ

京都市左京区法皇寺町にある日蓮(にちれん)本宗の本山。多宝富士山(たほうふじさん)と号する。本尊は十界大曼荼羅(じっかいだいまんだら)。1315年(正和4)日尊(にちぞん)が京都六角油小路(ろっかくあぶらこうじ)に上行院(じょうぎょういん)を建てたのが始まりといわれる。一方、弟子日大が貞和(じょうわ)年間(1345~50)冷泉(れいぜい)西洞院に法華(ほっけ)堂を建て、のち住本寺(じゅうほんじ)と称した。1536年(天文5)天文(てんぶん)法華の乱によって両寺は京都を追われ、堺(さかい)に難を避けた。1542年帰洛(きらく)する際に上行院、住本寺の二寺は合併し、要法寺と称して、堀川綾小路(あやのこうじ)に再興された。法華宗十五か本山の一つであった。その後豊臣(とよとみ)秀吉の寺町形成で二条寺町に移転。さらに宝永(ほうえい)の大火(1708)によって現在地に移転された。明治に入り「本門宗」と称したが、1950年(昭和25)日蓮本宗として独立した。寺宝の金銅蓮華唐草(れんげからくさ)文透彫経箱(すかしぼりきょうばこ)は国重要文化財。

[田村晃祐]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「要法寺」の意味・わかりやすい解説

要法寺
ようほうじ

京都市左京区にある日蓮本宗の本山。多宝富士山と号し,松の寺と通称される。正和1 (1312) 年日尊の開基と伝えられる。もと上行院と号したが天文5 (1536) 年兵火で焼失,同 19年 13世日辰が一寺を興して要法寺と号した。天正年間 (73~92) 豊臣秀吉の命により移転,宝永5 (1708) 年大火で類焼し,現在地に再建された。 15世日性は学識高く,銅活字による経典開板に従事し,要法寺板として著名

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