日本大百科全書(ニッポニカ) 「復古記」の意味・わかりやすい解説
復古記
ふっこき
1867年(慶応3)10月14日の大政奉還から、68年(明治1)10月28日の東征大総督(とうせいだいそうとく)解任までの史実を、綱文(こうぶん)に従って多数の史料を引用してまとめた官選の史書。「王政維新の鴻業(こうぎょう)」の功労者を記録せよという明治天皇の勅書に従って、72年10月太政官(だじょうかん)正院歴史課が編纂(へんさん)に着手し、修史局などを経て、東京帝国大学臨時編年史編纂掛が89年10月に完成した。綱文の部分のみは『明治史要』として太政官修史局が76年に公刊。史料を含む編年体の『復古記』150巻(208冊および附図、附録)は8冊にまとめられ、ほかに『復古外記』148巻(149冊)、「伏見(ふしみ)口戦記」以下「蝦夷(えぞ)戦記」に至る11種の戊辰(ぼしん)戦争史料が6冊に、「索引」1冊をあわせて計15冊として1929年(昭和4)から公刊された。編集と校閲にあたったのは、歴史課長長松幹(ながまつみき)を中心に、重野安繹(しげのやすつぐ)、久米邦武(くめくにたけ)、藤野正啓(まさひろ)ら、当時の優れた実証史家たちで、戊辰戦争の過程のきわめて詳しい史料集である。
[河内八郎]
『東京大学史料編纂所編『復古記』全15巻(1974~75・東京大学出版会)』