約500Pa(水柱50mm)以下の微小な圧力差を測る圧力計で,微差圧計ともいう。微小差圧における圧力測定の感度をあげるために,古くからいろいろな考案がなされており,微圧計の種類は多い。測定原理により大別すると,液柱差型と隔膜型(弾性型)がある。液柱差型は,微小差圧の測定用に液柱型圧力計を変形させたもので,微小な液面の動きを拡大,指示してその変位を直接測定するものと,液面の一方を元の位置に戻す操作を行う零位法に基づいて液面差を精密に測定するものとがある。前者には,傾斜した液柱により液面の変位を拡大する傾斜管圧力計,密度差の小さい2種の液体を用いる二液マノメーター,垂直方向の液面の変位を水平管内の気泡の変位で読むロバーツ圧力計などがあり,後者には中央でわずかに曲がった曲管を傾けて液面の一方を元に戻す圧力水準器,液槽の一方をマイクロメーターで微小変位させて他方を零位置に戻すミニメーター型ゲージ,計器全体を傾斜させて管端における2液の境界面の形状,または一方の液面を零位にするチャトックゲージ,またはレーリーゲージ,ドラムを液槽内の液面に沈めて傾斜管内の液面を零位に保つ排水型ゲージなどがある。現在では,これらの型式の微圧計が実際に用いられることは少ない。隔膜型は弾性圧力計の一種で,ばね性の軟らかい金属製の波状ダイヤフラム,またはベローズのほか,ネオプレン,テフロンなどの合成樹脂膜を感圧弾性素子に用いる。隔膜の変位,またはひずみは光学的,電気的な方法で精密に測定される。最近では,電気容量式,あるいはひずみゲージ式の変換器を利用した微圧計が多く用いられる。上述のほか,沈鐘型および環状てんびん型の圧力計も微圧計として用いられる。
執筆者:西端 健
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…圧力計のうちで,大気の圧力を測るものを気圧計,標準大気圧以下の真空圧力を測るものを真空計と呼び,数百MPa以上の圧力を測るものを高圧計high pressure gaugeと呼ぶこともある。また,二つの圧力系の圧力差を測るものを差圧計differential pressure gaugeといい,このうちとくに微小な圧力差を測るものを微圧計または微差圧計という。2GPaを超える圧力領域では圧力計と呼ばれるものは少ないが(動圧力測定用の圧縮圧力計だけ),後で述べる超高圧力測定法が確立されている。…
※「微圧計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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