圧力計(読み)アツリョクケイ(その他表記)pressure gauge

翻訳|pressure gauge

デジタル大辞泉 「圧力計」の意味・読み・例文・類語

あつりょく‐けい【圧力計】

気体や液体の圧力を測定する器械。使用目的によって気圧計・高圧計真空計などとよぶ。マノメーター

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精選版 日本国語大辞典 「圧力計」の意味・読み・例文・類語

あつりょく‐けい【圧力計】

  1. 〘 名詞 〙 流体の圧力の測定に用いられる装置。目的に応じて高圧計、真空計、気圧計、差圧計、微圧計とよばれる。マノメータ。〔工学字彙(1886)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「圧力計」の意味・わかりやすい解説

圧力計 (あつりょくけい)
pressure gauge

気体または液体の圧力を測定する計器。圧力を測ることは,歴史的には大気圧の科学的認識から始まった。1643年に行われたトリチェリE.Torricelliの真空実験である。この実験により,ガラス管内の水銀柱の重量とつり合っているのは大気の圧力であることが立証されたのであるが,当時すでにトリチェリやB.パスカルによって,大気圧が変動することや山の頂上では気圧が低くなることが観測された。この真空実験は水銀気圧計の発明であり,その測定原理は液柱型圧力計として今もなお広く用いられている。60年にはR.ボイルが一端を閉じたU字管形のガラス管内の水銀柱を使って空気を圧縮し,U字管内の水銀柱の高さの差から圧力を測る実験によりボイルの法則を発見した。このように,水銀柱を使って圧力を発生し,同時に圧力を測定して気体や液体の圧縮率を測定する実験は19世紀末まで試みられ,1877-79年にはカイユテLouis Paul Cailletet(1832-1913)やアマガEmile Hilarie Amagat(1841-1915)によってパリのエッフェル塔や炭鉱の縦坑を利用して水銀柱を立て,43MPaに達する実験がなされている。しかし液柱による圧力測定は0.4MPa(水銀柱で約4m)を超えると実用的でなくなる。そこで1830年ごろ,パーキンズJacob Perkins(1766-1849)らによって自由ピストンを利用した圧力測定法が考案され,重錘型圧力計の原型となった。93年,アマガは複自由ピストン型のアマガ圧力計をくふうし,300MPaに至る高圧力の測定を行った。一方,1797年コンテNicolas Jacques Conté(1755-1805)が薄いダイヤフラムを用いた気圧計を初めて考え,1844年ビディLucian Vidie(1805-66)は波状形のダイヤフラムを張りつけた真空箱をつくり,その弾性変形を利用して圧力を測る気圧計を考案した。水銀気圧計に対して,〈液体でない〉の意味のギリシア語anērosから,ビディはこれをアネロイド型気圧計aneroid barometerと名付けた。この種の弾性圧力計は49年シンツM.SchinzとブルドンEugène Bourdon(1808-84)によってそれぞれ独立に発明されたブルドン管圧力計に発展し,当時の蒸気機関の蒸気圧測定に役だつとともに,工業一般に広く応用される道を開いた。

今日では,圧力計の種類は非常に多く,測定原理や構造の違いにより,あるいは用途に応じてさまざまな型式がある。これらの圧力計は水蒸気圧,油圧,空気圧を利用する広範囲の産業機械に限らず,流体を扱うあらゆる分野で流体プロセスの計測,管理,制御などの目的に幅広く使用されている。大気圧測定では,気象観測用や航空用計器として,また流量,流速,液面,高度などの流体量の測定における補助計器として比較的精度の高い圧力計が必要とされる。圧力計の測定範囲は真空領域用から約2GPaまである。圧力計のうちで,大気の圧力を測るものを気圧計,標準大気圧以下の真空圧力を測るものを真空計と呼び,数百MPa以上の圧力を測るものを高圧計high pressure gaugeと呼ぶこともある。また,二つの圧力系の圧力差を測るものを差圧計differential pressure gaugeといい,このうちとくに微小な圧力差を測るものを微圧計または微差圧計という。2GPaを超える圧力領域では圧力計と呼ばれるものは少ないが(動圧力測定用の圧縮圧力計だけ),後で述べる超高圧力測定法が確立されている。圧力計で,電気的出力を有するものを圧力変換器または圧力発信器ともいい,遠隔自動測定のための電気式あるいは空気圧式伝送機能を備えたものを圧力伝送器ともいう。最近では電気的指示機能を有する圧力計が多くなっているため,これらの用語の間に厳密な区別はない。

 圧力計をその測定原理により分類すると,圧力を測定可能な力と平衡させて測る方式のものと,圧力によって誘起される物理現象の変化を利用する方式のものに大別される(表1)。前者では(圧力)×(面積)=(力)で表される圧力の作用と力の平衡状態が実現され,圧力の定義に基づいて圧力を決定することができる。力は重力によってもっとも正確に実現されるから,液柱(液柱型圧力計)や分銅(重錘型圧力計)の重量が利用される。このような圧力の絶対測定が可能な圧力計を一次圧力計(絶対圧力計ともいう)という。後者では,弾性変形,ピエゾ抵抗効果,圧電気効果などの物理現象が利用され,圧力の比較測定が行われる。一次圧力計を基準に用いて,圧力の目盛づけまたは校正が必要であり,この種の圧力計を二次圧力計という。なお,図3に示す沈鐘型と図4の環状てんびん型では,力または力のモーメントのつり合いが実現され,原理的には圧力の絶対測定が可能であるが,通常は二次圧力計として用いられる。実際の圧力計測では,測定原理の違いのほか,圧力範囲,精度,用途,使用環境,圧力媒体,動的特性などの違いに応じて,さまざまな構造や形状の圧力計が用いられている。

連通管に水銀,水,油などの液体を入れ,測ろうとする二つの系の圧力を連通管の両枝にそれぞれ導くと,液柱はその重量が圧力の差につり合う高さで停止する。このときの両液面の高さの差(液柱の高さという)を測定して圧力の差を求めるもの(図1)。液柱の高さをhとすると,圧力の差p2p1は次の式で与えられる。

 p2p1=ρgh

ここでρは液体の密度,gは重力の加速度である。連通管の低圧側を真空にすれば絶対圧力が測定され,大気圧に開放すればゲージ圧力が測定される。連通管には,両側の管の太さが同じで両液面の高さを読み取るU字管式,一方の管を径の大きい液だめにして他方の液面の高さだけを読む単管式,管を傾けて液面の高さの差を拡大して読む傾斜管式などがある。液柱の高さを測るには,直尺目盛と直接比較するものや,副尺つきの目盛尺,あるいは精密測定用にはカセトメーターを用いるものがあり,また液面に浮かせたうきを差動変圧器で検出したり,液面に光を当てて光電的に検出するなど,液面検出のいろいろのくふうがなされている。液柱型圧力計は気圧測定や流量,液面などの工業計測のほかに,低圧用の各種圧力計の校正の基準器として用いられる。水銀柱型で,その高さと水銀の温度を精密に測定すれば精度のよい圧力測定が達成され,日本における圧力の国家標準は光波干渉を応用して水銀柱の高さを測る方式の水銀標準圧力計で設定されている。

シリンダーによくはめ合っていて,滑らかに動く自由ピストンの底面に測ろうとする圧力を加え,この圧力による力とちょうどつり合うようにピストンの上に載せた分銅の重量から圧力を求めるもの(図2)。ピストンが浮いたつり合い状態にあるときの圧力pは,分銅の重量をピストンの断面積で割って求められ,正確には次の式で与えられる。

ここで,mは分銅とピストンの質量の和,Aeはピストン-シリンダー系の有効断面積,gは重力の加速度,p0は大気圧,ρaとρwは空気と分銅のそれぞれの密度で,(1-ρaw)は分銅に働く空気の浮力の補正項である。約300MPa以下の工業的な常用の圧力では,単純形のピストン-シリンダー系が用いられるが,これを超える高圧では,隙間制御形や内包形のものが採用される。後2者は,ピストンとシリンダーの間の隙間が圧力によって増大することによる圧力媒体の漏れを抑えるために,シリンダーの外周にも圧力を加えて,隙間を高圧下でも適度の大きさに保つような構造をもつ。圧力の伝達液体にはふつう軽油やマシン油などの潤滑油が用いられ,500MPa以上では,粘度の低い合成潤滑油やガソリンを使用する。特別に精密に仕上げたはめ合いの非常によいピストン-シリンダー系を用いれば,油の代りに空気や窒素などの気体を使用することができる。これを空気式重錘型圧力計という。空気式はピストンに働く粘性抵抗が小さいため約10⁻5の高感度をもち,約5MPaまでの低圧力の精密測定に適する。重錘型圧力計は圧力の連続測定には向かないが,圧力の絶対測定が可能であり,もっぱら圧力の精密測定や他の圧力計の校正の基準器として用いられる。

つり鐘形の容器を逆さにして液体中に沈め,その中に圧力を導くと,鐘の内側に上向きの力が働く。この上向きの力を鐘の自重,あるいは鐘の上に取り付けたばねなどの外力とつり合わせて圧力を測るものを単鐘式の沈鐘型圧力計という。2個の鐘をてんびんの両腕で支えてそれぞれに圧力を導き,鐘に働く上向きの力の差をてんびんの傾きから測定して圧力差を求める方式のもの(図3)を複鐘式という。沈鐘型圧力計は微差圧の測定に適し,複鐘式の場合,鐘の内側断面積が決定できれば一次圧力計として用いることもできる。

リングバランスring balanceとも呼ばれる。環状の管の上部に隔壁を設け,下側に半分ほど液体を入れて管の中心部を刃で支える(図4)。このような管の隔壁の両側の空間にそれぞれ圧力を導くと,隔壁に働く圧力の差に応じて支点のまわりの力のモーメントが生じ,下側につけた重錘に働く重力によるモーメントとつり合う位置まで管は傾く。このときの傾き角を読んで圧力を求める原理の圧力計をいう。管内の液体は2系統の圧力を隔離する働きだけをもち,支点のまわりの回転力には影響しない。液体には水銀,油,水が使用される。約20kPa(約150mmHg)以下の微差圧の測定に用いられる。

弾性体に圧力を加えると弾性体にひずみやたわみが生ずるが,これらの弾性変形量と圧力との関係を利用して圧力を測るもの。圧力に感じて変形する弾性体を感圧弾性素子という。弾性素子には,ブルドン管形(図5),ダイヤフラム(金属または非金属の弾性薄膜)形,ベローズ(滑らかな山形の連続断面をもつ管)形,空ごう(2枚の同心円の波状板を向き合わせつないだもの)形のものが広く用いられ,特殊形として高圧用に直円筒管形,偏心直管形などがある。これらの弾性素子は,測定範囲や分解能,精度に応じていろいろな形状,寸法,厚み,あるいは適当な強度の弾性材料で製作される。弾性材料には,黄銅,リン青銅,ベリリウム銅,ステンレス鋼,ニッケルスパンCなどが用いられ,高圧用には,クロム鋼,モネル,クロムモリブデン鋼などの特殊鋼を使用する。ブルドン管圧力計とダイヤフラム形圧力計は低圧用から高圧用まであり,ベローズ形圧力計と空ごう形圧力計は圧力感度が大きいため,主として気圧や低圧力の測定用である。弾性素子の変形量は機械式拡大指示機構,あるいは電気式変換器(変位またはひずみ変換器)により拡大,指示され,圧力が測られる。機械式は歯車,てこなどを組み合わせた拡大指示機構を利用するもので,比較的安価であるため工業用や一般計測用にもっとも多く用いられている。電気式変換器は,弾性素子のひずみまたは変位を電気的量に変換するもので,ひずみゲージ式のほかに電気容量式,差動変圧器式,電位差計式,弾性振動式などの各種の変位変換器が用いられている。弾性素子の圧力によるひずみを,ひずみゲージで測定するひずみゲージ式がもっとも多く用いられ,最近では拡散形半導体ひずみゲージが流体計測用圧力計によく利用されている。ブルドン管圧力計は汎用(はんよう)から精密級まで工業上もっとも多く用いられている圧力計で,ブルドン管の形状により,C形,うず巻形,つる巻形,ねじり形がある。ブルドン管の名称は,その考案者の一人で製造業者でもあったブルドンの名に由来するものである。

金属や半導体の電気抵抗が圧力によって変化する現象(ピエゾ抵抗効果という)を利用するもので,ピエゾ抵抗式圧力計ともいう。実用的には電気抵抗の温度係数が小さい金属がよく,圧力係数の比較的大きいマンガニンのほかに金クロム合金が用いられる。電気抵抗の圧力係数は,マンガニンの場合でも約2.4×10⁻5MPa⁻1と小さいため,約100MPa~3GPaの高圧力の測定に適し,これ以上の超高圧領域でも利用される。通常直径が約0.1mmの二重絹巻き被覆のマンガニン細線をコイル状に巻いた約120Ωの抵抗素子が用いられ,これに流体圧力が直接加えられる。電気抵抗と圧力の関係は2GPaまで,約±1%で直線的であるが,精密な測定では二次式で表すほうがよい。

水晶,ジルコン酸チタン酸鉛磁器など圧電体に応力を加えると,その表面に電荷が発生する現象(圧電効果またはピエゾ電気効果という)を利用するもので,ピエゾ電気式圧力計ともいう。ダイヤフラムなどの受圧板を介して水晶素子に圧力が加えられる。発生した電気量は漏洩(ろうえい)しやすいために静的な圧力の測定には向かないが,周波数応答がよいことから,もっぱら変動圧力の測定に用いられる。

2GPaを超える超高圧力領域では,圧力は各種の超高圧発生装置の限られた小さな圧力室内でつくられるため,この圧力室内の発生圧力を直接推定しなければならない。超高圧力はピストン-シリンダー型やアンビル型(対向する加圧台のことをアンビルと呼び,もっとも一般的な対向型のほかに,正四面体,正六面体,正八面体などの多面体型がある)の試料圧縮装置に油圧プレス装置で力を加えて試料を圧縮することにより発生されるから,加えた力の大きさを試料室の断面積で割れば試料の平均の圧力が求められる。しかし,この方法では試料を密封するガスケット内の圧力分布が一様でなく,また摩擦による力の損失が大きいため,圧力のおよその値が推定されるに過ぎない。このような超高圧測定をより正確に行うには,〈圧力定点〉が利用される。圧力定点は物質の液体-固体あるいは固体-固体(結晶構造が異なる)間の相転移が温度を決めれば一定の圧力で起こることを利用するもので,定点物質とその定点値を表2に示す。定点物質を超高圧発生装置の圧力室に封入し,その相転移を観測すれば,圧力定点値から例えば油圧プレス装置の油圧と発生圧力との関係が決められる。相転移は,転移に伴う電気抵抗や体積の急激な変化あるいは転移熱の発生を観測して検出される。超高圧測定法には,圧力定点のほかにNaCl目盛とルビー目盛と呼ばれる方法がある。〈NaCl目盛〉は圧力による物質の体積変化を利用する方法の一つで,塩化ナトリウムNaClは単純立方格子の結晶構造をもつイオン結晶であるため,体積変化と圧力および温度との関係式(状態方程式)を理論的に導くことができる。アンビル型の超高圧装置にX線回折の実験装置を組み込み,NaClの格子定数をX線回折で測定すれば,圧力と格子定数の関係から圧力が求められる。NaCl目盛は超高圧測定法のうちでもっとも信頼性が高く,NaClの相転移が生ずる29GPaまでの超高圧測定の基準的方法となっている。〈ルビー目盛〉は,ルビー蛍光線の波長が圧力によって変わる性質を利用する方法で,光学実験の可能なダイヤモンド・アンビル型超高圧発生装置を用いる実験に適用される。試料に混入したルビー粉末に光を照射し,このとき発光する694.2nmの波長のR1線と呼ばれる蛍光線の波長変化を分光計で観測して圧力を求める。波長-圧力関係はほぼ直線的で,NaCl目盛を基準にして校正される。ルビー目盛は100GPaを超える圧力まで適用されている。

 物体の衝突や爆薬の爆発などによって生ずる動的超高圧力(衝撃圧力ともいう)は,衝撃波の伝播(でんぱ)速度と物質の粒子速度を測定し,これらの積に物質の密度を乗じて求められる。衝撃波速度と粒子速度の測定には,光学的方法と電気的方法がある。このほか,マンガニン線のピエゾ抵抗や水晶の圧電気効果も動的超高圧力の測定に利用される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「圧力計」の意味・わかりやすい解説

圧力計
あつりょくけい

気体や液体の圧力を測るための計器全般をいう。きわめて多くの種類があり、原理のうえでは、液柱型、重錘(じゅうすい)ピストン型、弾性素子型、物性利用型などに大別される。測定対象である圧力という量は、測定箇所とみなす面に垂直に作用する力の単位面積当りの大きさであり、国際単位系(SI)の単位はパスカル(Pa)である。圧力計は圧力によって発生する力を重力や弾性力などとつり合わせ、つり合う力の大きさやつり合い点の移動量によって、圧力の大きさを指示する器械、装置である。圧力の基準点を真空に置くものを絶対圧力計、大気圧に置くものを普通圧力計、二つの圧力の差を指示するものを差圧圧力計(差圧計)という。また、大気圧を測る圧力計をとくに気圧計といい、大気圧より低い圧力を測るものを真空圧力計(真空計)という。

[三井清人]

原理と特徴

液柱型圧力計は17世紀以来広く用いられ、簡単な装置で信頼度の高い測定結果が得られる。種々の形式があるが、代表的なものとして、U字形のガラス管に水銀や水などを入れて一端に測定圧力を加え、他端を基準圧力源につないで用いるものがある。一端からの圧力によって押された液体は、他方へ移動して直管部を上昇し、液体に作用する重力と圧力とがつり合う位置で静止する。そのとき両側の液柱の高さの差は圧力に比例しており、この高さの差に液体の密度と重力の加速度を乗じたものが圧力の値となる。

 重錘ピストン型圧力計は、液柱型では測定困難な高圧力の測定用および正確な基準圧力計として用いられる。精密につくられたピストン・シリンダーを鉛直に設置し、大きさを調節できる重錘をピストン上に負荷する構造をもっている。ピストンの下方から加えられた圧力と重錘の重量とがつり合っているとき、圧力の大きさは、重錘の重量をピストン・シリンダーの有効断面積で除した値である。

 弾性素子型圧力計はアネロイド(無液)型圧力計ともよばれ、実用圧力計の大部分を占める。圧力に応じて弾性変形をおこすブルドン管、ベローズ、隔膜(ダイアフラム)などの変形量によって圧力の大きさを指示する計器で、圧力の値は、液柱型または重錘ピストン型圧力計を基準としてつけられた目盛りによって読み取られる。1990年ごろから、圧電性のセラミックスでつくられた小形(数ミリメートル)の感圧素子を用いたデジタル表示の圧力計が広く利用されるようになり、気圧の変化から高度を推定する高度計としても利用されている。

 このほかにも、圧力計あるいはその検出部(センサー)には多くの種類があり、なかでも物性利用型は応用範囲が広い。圧力による電気抵抗の変化、圧電効果(ピエゾ効果)、超音波伝搬速度の圧力係数などは物質に固有の値をとり、物質によっては圧力測定に有効に利用できる。1万気圧程度の高圧力の測定に用いるマンガニン抵抗圧力計などがある。

[三井清人]


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百科事典マイペディア 「圧力計」の意味・わかりやすい解説

圧力計【あつりょくけい】

蒸気や気体・液体の圧力を測定し,指示する装置の総称。水銀柱や水柱などと釣り合わせて測る方式(マノメーター),管の弾性変形より測る方式(ブルドン管圧力計),ダイヤフラム(金属または非金属の弾性薄膜)の変形より測る方式,その他電気的・物理的変化を利用するものもある。気圧計真空計も圧力計の一種。化学プラントのプロセス制御用の圧力計などは圧力センサーともよばれる。→圧力
→関連項目計器ゲージ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「圧力計」の意味・わかりやすい解説

圧力計
あつりょくけい
manometer; pressure gauge

マノメータともいう。気体や液体の圧力を測定する装置の総称。液体圧力計は液体表面の高さの差から圧力差をはかるもので,U字管圧力計,ベル差圧計などがある。重錘圧力計はパスカルの原理を利用し,弾性圧力計は圧力による弾性体の変形を利用して圧力をはかる。このほか,圧力による電気的性質の変化を利用したさまざまな圧力計もある。圧力計は使用目的に応じて高圧計,真空計,気圧計,差圧計,微差圧力計などに区別される。

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化学辞典 第2版 「圧力計」の解説

圧力計
アツリョクケイ
manometer, pressure gauge

流体の圧力を測定する計器.マノメーターともいう.液柱(たとえば,水銀圧力計の水銀柱)やおもりの重量に圧力を平衡させる重力平衡式,圧力によるブルドン管やダイヤフラムなどの変形を用いる弾性式,電気抵抗の圧力による変化を用いる電気抵抗式,結晶の圧電現象を利用する圧電気式がある.

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栄養・生化学辞典 「圧力計」の解説

圧力計

 気体や液体の圧力差を測定する装置.マノメーターといって,気体の圧力差を水銀柱の高さで測定するものがあり,これも圧力計の一つである.

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