志多留村(読み)したるむら

日本歴史地名大系 「志多留村」の解説

志多留村
したるむら

[現在地名]上県町志多留

佐護さご村の南西に位置する。仁田にた浦に張出した伊奈いな崎の南西に開いた浦で、府中ふちゆう(現厳原町)より一七里八町の地であった(津島紀略)。地内の釈迦堂に正平一二年(一三五七)銘と考えられる板碑型石塔、南北朝期から室町初期の間の建塔と推定される五輪塔(安山岩質凝灰岩製)がある。伊奈崎の高所遠見壇とめだんに江戸時代遠見番所が置かれていた(元禄一三年対馬国郡絵図)。縄文時代後期から弥生時代に及ぶ貝塚のほか、古墳時代初期の大将軍山だいじようぐやま古墳、同後期の千人塚せんにんづか古墳・万人塚まんにんづか古墳がある。また中世祭祀遺跡とみられる金蔵壇かなぐらだん、現在も続くサエノカミ祭祀など、古い習俗を伝えた遺跡や伝説が多い。「郡方毎日記」寛永一五年(一六三八)条に「したる」とみえる。万治四年(一六六一)検地帳では伊奈郡志多留村として高八〇石余。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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