志摩郷(読み)しまごう

日本歴史地名大系 「志摩郷」の解説

志摩郷
しまごう

和名抄」高山寺本・東急本・元和古活字本のいずれも訓を欠く。郷名の初見は、平城宮出土木簡に「尾治国海郡嶋里人」「海連赤麻呂米六斗」と記されるものである。この木簡は郡里の表記をもっており、霊亀元年(七一五)に里が郷と改称される以前のものである。さらに郡名が海の一字、里名も嶋の一字名であることからすれば、和銅六年(七一三)五月に好字制が出される以前の木簡ということになる。


志摩郷
しまごう

「和名抄」所載の郷。同書の諸本とも訓を欠くが、シマであろう。また同書に「国用嶋字」と記すことから、郡域に近い桜島に比定され、「鹿児島県史」も論ずるまでもないとする。しかし問題もある。「続日本紀」天平宝字八年(七六四)一二月条に「於麑嶋信爾村之海、沙石自聚、化成三嶋」とあり、この噴火により住居・住民に大きな被害を出している。この三島は鹿児島湾奥部の現隼人はやと町沖の現存する三つの島のこととされているが、近年の火山学・地質学の研究ではこの三島は八世紀の噴火で出現したものではなく、八世紀に桜島南東部のなべ山の噴火によって生じた三島はその後海中に消滅したと推測されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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