江戸後期の歌人橘曙覧(たちばなあけみ)の歌集。1878年(明治11)嗣子(しし)井手今滋(いでいましげ)によって出版。第5集までは草稿のまま、補遺を加えて全6集。総歌数860首。時代順に並べてあるのが特色。『万葉集』の実情実感を主とし、シラミなど生活環境のあらゆるものを題材として詠んでいる。楽天的で国粋主義の思想をもち、これを詠じた。「たのしみは」の形式を繰り返した「独楽吟(どくらくぎん)」52首がよく知られている。
[辻森秀英]
たのしみは草のいほりの莚敷(むしろじき)ひとりこころを静めをるとき
『土岐善麿校註『日本古典全書 宗武・曙覧歌集』(1950・朝日新聞社)』▽『辻森秀英著「橘曙覧」(『和歌文学講座8』所収・1969・桜楓社)』
…〈たのしみは妻子(めこ)むつまじくうちつどひ頭ならべて物をくふ時〉などを含む〈独楽吟〉52首が有名である。家集に,嗣子井手今滋(いでいましげ)編《志濃夫廼舎歌集》(1878)がある。【佐佐木 幸綱】。…
※「志濃夫廼舎歌集」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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