志積浦(読み)しつみうら

日本歴史地名大系 「志積浦」の解説

志積浦
しつみうら

[現在地名]小浜市志積

犬熊いぬくま浦の東南にあたり、西南熊野くまの坂を越えて熊野村に至る。東南は宮川みやがわ坂を経て本保ほんぼ村へつながり、北は若狭湾に面する小漁村。志津見とも記す(天保郷帳)。山が急傾斜して海岸線を形成するため耕地はほとんどなく、山越をした本保村と新保しんぼ村にわずかな田地をもつ。浦人は近年まで本保村より米を背負って運び、船で小浜へ出したという。本保村との間では物々交換も行われ、当浦の各家と本保村の各家がそれぞれきまった交わりをしており、当浦からは魚を、本保村からは米を交換していた。

天禄三年(九七二)五月三日付の天台座主良源遺言(廬山寺文書)に、

<資料は省略されています>

とあり、以後山門(延暦寺)と深いかかわりをもった。建久二年(一一九一)には日吉社(現大津市)より勧請された十禅師じゆうぜんじ客人宮まろうどのみやの祭礼料として田畠寄進があり(建久二年三月五日付「十禅師客人宮祭礼料田畠寄進状」安倍家文書)、刀禰職安倍氏が代々それを管理した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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