急性呼吸窮迫症候群(読み)きゅうせいこきゅうきゅうはくしょうこうぐん(その他表記)acute respiratory distress syndrome

日本大百科全書(ニッポニカ) 「急性呼吸窮迫症候群」の意味・わかりやすい解説

急性呼吸窮迫症候群
きゅうせいこきゅうきゅうはくしょうこうぐん
acute respiratory distress syndrome

重篤な急性肺障害(ALI:acute lung injury)。略称ARDS。急性呼吸促迫症候群ともいう。肺に基礎疾患がないにもかかわらず、敗血症、全身の外傷、肺以外の臓器の手術などによる外科的侵襲、出血性・細菌性ショック、ウイルス性肺炎や他臓器の感染症、誤嚥(ごえん)性肺炎、薬物中毒などの後に急性の呼吸困難を発症し、胸部X線写真で肺に浸潤影がみられ、動脈血液中の酸素分圧が低下して低酸素血症となる病態のうち、左心不全ではないものを急性肺障害と定義し、その重症例をARDSと分類する。肺胞組織だけでなく全身臓器にも損傷が及び、死に至ることも多い。1967年にペティThomas L. Petty(1932―2009)とアシュボーDavid G. Ashbaughにより報告された概念で、成人呼吸窮迫症候群adult respiratory distress syndromeとよばれていたが、未成年にも発症するため現在の名称になった。新生児に生じるものは特発性呼吸窮迫症候群(IRDS:idiopathic respiratory distress syndrome)とよぶ。治療としては、通常の酸素投与だけでは十分でないことが多く、呼気終末陽圧(PEEP:positive end expiratory pressure)をはじめとする人工呼吸管理と、気道分泌物抑制および気管支閉塞予防の目的で多価酵素阻害薬やβ2(ベータツー)刺激薬(気管支拡張剤)などの薬物療法も用いられているが、有効な根本的治療法は確立されていない。

[編集部]

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