六訂版 家庭医学大全科 「急性呼吸窮迫症候群」の解説
急性呼吸窮迫症候群
きゅうせいこきゅうきゅうはくしょうこうぐん
Acute respiratory distress syndrome
(呼吸器の病気)
どんな病気か
しばしばARDSと略されます。低酸素の程度が軽いものを急性肺損傷といいます。
さまざまな原因に続発する急性の肺の損傷です。肺の
また、低出生体重児にみられる特発性呼吸窮迫症候群は、肺表面活性物質(肺サーファクタント)の不足によるため、ARDSとは病態が異なります。
原因は何か
原因としてはショック、とくに
ARDSでは腎不全、心不全、肝不全を合併することが多く、ある刺激に対して生体が示す過度の全身的炎症から多臓器不全が引き起こされますが、その部分症とも考えられます。マクロファージからの組織
症状の現れ方
呼吸不全のため
検査と診断
胸部X線像で両側の肺に急速に浸潤影が認められ、通常の酸素投与では低酸素血症は改善しない場合で、うっ血性心不全の存在が否定できれば診断されます。
治療の方法
原因となった基礎疾患の治療を行いつつ、呼吸管理導入の時期を逃さないように注意します。近年、肺の保護的人工呼吸管理法が行われるようになり、生存率が改善しました。これは1回の換気量を低めに設定し、動脈血二酸化炭素分圧を80Torr程度にまで上昇してもよいとする方法です。
薬物療法では、抗エラスターゼ製剤も試みられています。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報