性霊説(読み)セイレイセツ(その他表記)Xìng líng shuō

デジタル大辞泉 「性霊説」の意味・読み・例文・類語

せいれい‐せつ【性霊説】

中国、清の詩人袁枚えんばいらが提唱した説。性情の自由な流露と自然な表現を尊重した。王士禎神韻説や沈徳潜の格調説対立

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改訂新版 世界大百科事典 「性霊説」の意味・わかりやすい解説

性霊説 (せいれいせつ)
Xìng líng shuō

中国,明代,公安派袁宏道によって首唱された明代詩界を代表する詩論の一つ。前・後七子の古文辞派の格調説が詩情を拘束することを嫌い,《文心雕竜(ぶんしんちようりよう)》にみえる性霊の語を用いて詩人固有の真情を尊重し,独創性を重視せんと主張した。別派に鍾惺竟陵派を生むが,清代に袁枚えんばい)がさらに展開させた。それが空疎放恣に流れることを嫌った王士禎は神韻説を主張して反対した。山本北山,元政など江戸期の詩評界に与えた影響はきわめて大きい。
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世界大百科事典(旧版)内の性霊説の言及

【袁枚】より

…32歳で退官してからは,短期間の再就職を除いて,文筆業によりながら南京小倉山の別荘随園での生活を楽しむ一方,商業都市揚州などにも足しげく訪れ,多数の文化人と交遊した。その詩論は〈性霊説〉とよばれ,人間の自然な気持をすなおに表現することを説くもので,商人出身などの新しい文化人の考え方を代表し,王士禎の〈神韻説〉や沈徳潜の〈格調説〉に対立した。しかし明代の袁宏道とちがって学問を重視する点では清代の思潮の中にある。…

※「性霊説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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