フランス・イタリア合作映画。1952年作品。監督アンリ・ジョルジュ・クルーゾ。多額の報酬を目当てに、中米の油田で発生した大火災を消火するため、大量のニトログリセリンをトラックで運搬するという危険な仕事に挑む4人の荒くれ男たちの運命を描く。シャンソン歌手として有名なイブ・モンタン主演。2時間を超える長さながら、ハラハラさせる展開と意外な結末で息もつかせず観客をひきつけるサスペンスの手腕が高く評価され、クルーゾはフランスのヒッチコックとよばれる。カンヌ国際映画祭ではグランプリおよびシャルル・バネルCharles Vanel(1892―1989)が男優賞を受賞。ベルリン国際映画祭では金熊賞を受賞。1977年にはウィリアム・フリードキンWilliam Friedkin(1935―2023)監督、ロイ・シャイダーRoy Scheider(1932―2008)主演でハリウッドでリメイクされた。
[伊津野知多]
…パリで死去。ナチ占領下で撮った監督第1作《犯人は21番に住む》(1942)と第2作《密告》(1943)に次いで,第3作《犯罪河岸》(1947)に至って,一躍犯罪スリラー映画の代表的監督となり,その後も,カンヌ映画祭グラン・プリを受賞する《恐怖の報酬》(1952),ルイ・デリュック賞を授与される《悪魔のような女》(1954),《スパイ》(1957)といった暗いペシミズムに貫かれたサスペンス映画を撮るが,他方では,〈16歳の悪女〉セシル・オーブリー主演の《情婦マノン》(1948)や,ブリジット・バルドー主演の《真実》(1960)で強烈なエロティシズム表現を追求した。また,キャンバスに絵が描かれるのを裏面から撮影するという画期的な手法で美術映画に新分野を開拓して,カンヌ映画祭審査員特別賞を与えられた記録映画《ピカソ――天才の秘密》(1955)では,その〈造形感覚〉をいかんなく発揮してみせた。…
…映画出演の第2作目《夜の門》(1946)の中で《枯葉Les feuilles mortes》を歌い,この曲が世に知られるきっかけをつくった。俳優としては,52年の《恐怖の報酬》(アンリ・ジョルジュ・クルーゾ監督)で成功し,以後,ジュールス・ダッシン監督《掟》(1958),アラン・レネ監督《戦争は終わった》(1965),コスタ・ガブラス監督の三部作(《Z》《告白》《戒厳令》1968‐72)などの問題作に出演する。一方,《恋をしましょう》(1960),《さよならをもう一度》(1961),《パリのめぐり逢い》(1966)などのメロドラマ,《仁義》(1970),《真夜中の刑事》(1978)などのアクション映画と幅広くこなしている。…
※「恐怖の報酬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
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