悉皆屋(読み)シッカイヤ

精選版 日本国語大辞典 「悉皆屋」の意味・読み・例文・類語

しっかい‐や【悉皆屋】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「悉皆」は一切の意で一切を引き受けることを看板に掲げたところから ) 江戸時代、大坂で染物・染替・洗張りなどの注文をとって京都へ送るのを業とした者。転じて、染物や洗張りなどを業とする者。また、その店。悉皆。
    1. [初出の実例]「嘉吉は悉皆(シッカイ)じゃによって、東で染物うけとった其注文の菊をやめにしてくれじゃ、此菊は大かたもやうの事であろ」(出典洒落本・竊潜妻(1807)上)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「悉皆屋」の意味・わかりやすい解説

悉皆屋
しっかいや

江戸時代、大坂に店舗を構えて、衣類の染め、洗い張り、染め返しなどのいっさいを請け負い、これを京都の業者に送って調製させた染物関係の請負業者。染物についてのすべてを請け負ったので、「悉皆」の名が生じたらしい。その後はやや転じて、染物や洗い張りを業とするものの名称にもなっている。

[竹内利美]

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世界大百科事典(旧版)内の悉皆屋の言及

【洗張り】より

…あわせのものは丸洗いすると裏と表のつり合いが狂うので,解洗いが必要。関西では洗張りや染物などを扱う業者を悉皆屋(しつかいや)とよぶ。
[板張り]
 栃の一枚板に薄くのりをつけた布の裏側を密着させ,布目と幅を正して天日乾燥させる。…

※「悉皆屋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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