染(め)物(読み)ソメモノ

デジタル大辞泉の解説

そめ‐もの【染(め)物】

布などを染めること。また、染めた布。
結婚して女が歯に鉄漿(かね)をつけて黒く染めること。
「かがみ見て―をするはづかしさ」〈柳多留・一〇〉

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百科事典マイペディアの解説

染物【そめもの】

染料を用いて染めた織物。織る前の糸を染める先染(さきぞめ)物と,織り上がった布を染める後染(あとぞめ)物に大別され,それぞれ無地染と模様染とに分けられる。模様染には,布地に色を加えて形を表す描(かき)染,型染,摺(すり)染と,防染法を用いて布の一部に染料が染めつかないようにする絞染板締絞,蝋纈(ろうけつ)染などがあり,両者が併用されることも少なくない。日本では正倉院の染織品に描絵,摺絵や,絞染,板締絞,蝋纈染にあたる纐纈(こうけち),【きょう】纈(きょうけち),臈纈(ろうけち)などが残っている。室町〜桃山時代には絞染を主とした辻が花染が行われた。江戸時代には染色技術は飛躍的な発展を遂げ,絞りでは疋田絞のような精巧なものが作られ,型染では小紋中形(ちゅうがた)などが行われた。また描染では画期的な友禅が創始され独特の多彩な絵模様が完成された。

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世界大百科事典 第2版の解説

そめもの【染物】

植物性,動物性,合成などあらゆる繊維でつくった織物,編物などを浸染(しんせん),その他の方法で染めたもの。無地染と文様染に大別される。無地染は織物,編物を材質にしたがってさまざまな方法で精練あるいは漂白した後,手染または機械を用いて浸染,引染,吹染,パッティング染または媒染などの法によって色無地に染めたものをいう。織物発生後まもなく行われたと考えられ,世界各地で長い歴史を保ちつづけている。文様染の種類と方法はきわめて多い。

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精選版 日本国語大辞典の解説

しみ‐もの【染物】

〘名〙 部分的に液などがついてできた汚れ。しみ
※米沢本沙石集(1283)四「しみ物などは、とりわき灰汁(あく)をもそへ、水をも含みて懃(ねんごろ)にすすがざれば落ちざるが如し」

そめ‐もの【染物】

〘名〙
① 布帛を染めること。また、その染めた物。
※宇津保(970‐999頃)嵯峨院「ごたち、物裁つ。そめものせらるる」
② 女が結婚して歯に鉄漿(かね)をつけること。
※雑俳・柳多留‐一〇(1775)「かがみ見てそめものをするはつかしさ」

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世界大百科事典内の染(め)物の言及

【染色】より

… 直接染料による木綿の染色の実例を次に示す。繊維重量の1~8%の直接染料,ボウ硝Na2SO4・10H2O10~40%,浴比(可染物重量に対する全染液容量)1:20~1:40の染浴をつくり,あらかじめ精練漂白した木綿を入れ,室温からゆっくり昇温して沸点近くで30~40分染色し,水洗,乾燥して完了する。反応染料による木綿染色は,セルロースのOH基と染料分子が共有結合をつくるため湿潤堅牢度が著しく高く染法も簡便であるので,今日最も重要なセルロース系繊維の染色法となった。…

※「染(め)物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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