デジタル大辞泉
「悴」の意味・読み・例文・類語
かせ【×悴】
[接頭]《動詞「か(悴)せる」の連用形から》人を表す語に付いて、やせた、貧しい、身分の低い、などの意を表す。「悴侍」「悴首」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
かじ・ける【悴】
〘自カ下一〙 かじ・く 〘自カ下二〙 (古くは「かしく」)
①
生気がなくなり、衰える。また、
発育が悪くみすぼらしいさまになる。かじかむ。
(イ) 姿や顔つきがやせ衰える。また、みすぼらしくなる。
※
書紀(720)崇峻即位前(図書寮本訓)「形色
(かほ)憔悴(カシケ)」
※日葡辞書(1603‐04)「Cajiqe, uru, eta(カジクル)〈訳〉悪化する。衰弱する。または、やせて醜くなる。比喩、貧しく、衣類もない人に言う。カジケビト、または、cajiqeta(カジケタ)ヒト〈訳〉貧しい人。貧乏人」
(ロ)
草木や花が、生気を失ってしおれる。また、
生長不十分で弱々しいさまになる。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)八「妙園林の〈略〉忽然に皆枯れ悴(カシケ)て」
(ハ) 国や市街などが衰える。
※
雑俳・柳多留‐二二(1788)「かじけたりなまけたり二度義理で来る」 〔
和英語林集成(
再版)(1872)〕
かじか・む【悴】
〘自マ五(四)〙 (古くは「かしかむ」)
① 生気がなくなって、やせ衰える。また、草木などがしおれる。かじける。
※天理本金剛般若経集験記平安初期点(850頃)「儞は是れ誰が家の
小児ぞ。面血色无く、いたく顦顇
(カシカミ)たる」
②
手足などが寒さのため、こごえて思うように動かなくなる。かじける。《季・冬》
※雑俳・柳多留‐四(1769)「駕ちんをかじかんだ手へ壱歩とり」
※雑俳・たから船(1703)「せつかれて・問屋女かじかむ出立ち飯」
[語誌](1)「かしく」(→
かじける)から派生したものと思われ、ともに①の意で用いられた。「日葡辞書」には「かじく」「かしく」の両形が見え、近世以降「かじかむ」「かじく」という濁音形が一般的になったと思われる。
(2)近世後期には、寒さのために生気がなくなる意味をもつ「かじける」の例が多くなり、以後「かじかむ」もこの意味を中心に使われるようになる。
かじけ【悴】
〘名〙 (動詞「かじける(悴)」の連用形の
名詞化)
① 生気がなく衰えること。やつれること。また、落ちぶれること。
※俳諧・広原海(1703)七「
亡夫の碑石恥し身の惟悴
(かじけ)」
② 寒さのためにちぢこまること。寒がること。また、その人。寒がりや。
※雑俳・田みの笠(1700)「かさねたり・かじけが姿は
茗荷の子」
すす・く【悴】
〘自カ下二〙 しぼむ。やつれる。年老いたさまになる。白髪まじりになる。
※東大寺諷誦文平安初期点(830頃)「形悴(ススケ)、躰費えて安き色无し」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報