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俗字 ぞくじ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

俗字
ぞくじ

社会一般に普通に用いられてはいるが,規範的観点からみて正しくないとされる漢字をいう。俗体ともいう。正字 (正体) の対。「俎」に対する「爼」,「當」に対する「当」などが俗字の例。正俗の別は,唐代に顔師古の『顔氏字様 (がんしじよう) 』と顔元孫の『干禄 (かんろく) 字書』などにより定められたが,その基準は時代や地域により変動しうる。「効」 (←「效」) や上の「当」のように,従来は俗字とされていたものも,当用漢字や常用漢字として採用されたため,現代日本語の表記法においては,俗字といえなくなったものもある。

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デジタル大辞泉の解説

ぞく‐じ【俗字】

正字ではないが世間一般に使われている漢字。「」を「耻」、「」を「卆」、「館」を「舘」と書くなど。→正字

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世界大百科事典 第2版の解説

ぞくじ【俗字 sú zì】

漢字の字体で,民間で流行する異体字を正字に対して俗字という。正・俗をわける基準は時代によって異なる。たとえば,中国の漢代の《説文解字》では〈躬〉を〈躳〉の俗字とするが,唐代の《干禄字書》では,ともに正字とする。《干禄字書》は顔元孫の手になる楷書による字形の正・俗を分けた最初の字書であり,その後の字書はすべてこれによる。今日では過去の俗字も常用漢字として大いに利用されている。なお,日本においては,異体字と正字との区別を扱ったものに中根元珪の《異体字弁》(元禄5年の序)がある。

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大辞林 第三版の解説

ぞくじ【俗字】

世間で通用しているが正格ではない字形。「耻(恥)」「忰(悴)」「觧(解)」の類。 → 正字

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

俗字
ぞくじ

異体字の一種。正字(正式の字体)に対し、正式ではないが世間一般で広く行われている字体をいう。略字とも重なる部分があり、また極端な場合には誤字(譌字(かじ))ともなって、その正確な規定はかならずしも容易でない。俗字の例をあげれば、耻(恥)、(丈)、伜(倅)、耒(来)、裡(裏)などが( )内の文字の俗字とされる。俗字の指摘は中国ではすでに唐の顔元孫の『干禄字書(かんろくじしょ)』(774=大暦9)にみられ、漢字の字体を正・俗・通の三つに分類している。日本では『干禄字書』など中国の字書の影響を受けて『類聚(るいじゅ)名義抄(みょうぎしょう)』(編者未詳、1100ころ成立)が「俗」などと注記しているのが古い。俗字は学校教育などにおいては正字と対置され、比較的低い価値しか与えられていないようにみえるが、広く日常生活に根を下ろして幅広く用いられている。また一方では新たな俗字もつくられつつあり、その点では生きた文字として正字とともに重視すべきだとの立場もある。[月本雅幸]

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世界大百科事典内の俗字の言及

【略字】より

…ただし文字もまた一つの規範であり,〈略字〉という表現そのものの中に,規範に反するものとする若干の非難の気持ちのこめられることは,また十分にありうることであろう。かつての中国で略字が〈省文〉〈省字〉などと呼ばれ,〈俗字〉〈俗体〉と考えられたとき,そこにはそうした意識もありえたと思われる。黙認されてはいても,いまの〈簡体字〉ほど自分の存在を主張できるほどのものではなかったであろう。…

※「俗字」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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