愚者にも一得(読み)グシャニモイットク

デジタル大辞泉 「愚者にも一得」の意味・読み・例文・類語

愚者ぐしゃにも一得いっとく

《「史記」淮陰侯伝の「智者千慮せんりょに必ず一失あり、愚者千慮に必ず一得あり」から》愚かな者でも、たまには採るべきいい考え方をするということ。

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精選版 日本国語大辞典 「愚者にも一得」の意味・読み・例文・類語

ぐしゃ【愚者】=にも[=の]一得(いっとく)

※中右記‐大治四年(1129)四月一〇日「予見付此事、愚者一得歟」
桐一葉(1894‐95)〈坪内逍遙〉六「たった一言置きみやげ、愚者にも一得、いまはの忠言

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故事成語を知る辞典 「愚者にも一得」の解説

愚者にも一得

愚かな者でも、時には役に立つ案を出すことがある、ということ。

[使用例] たった一言置きみやげ、愚者にも一得、いまわの忠言[坪内逍遥*桐一葉|1894~95]

[由来] 「史記わいいんこう伝」に記録されている話から。紀元前二世紀の終わり、りゅうほうこうとが、中国の覇権を懸けて争っていたときのこと。劉邦側の将軍かんしんは、ある戦いに勝利して、敵の兵法家、こうくんを生け捕りにしました。以前から広武君の才能に敬服していた韓信は、そのいましめを解いて、教えを請います。すると、広武君は、「しゃにも千慮に必ず一失有り、しゃにも千慮に必ず一得有り(頭のいい人だってたまには間違った判断をすることがあるし、愚か者だってたまにはいい判断をすることがあるものです)」と述べて、「愚者」なりの自分の考えを伝えたのでした。なお、この広武君のセリフからは、「千慮の一失という故事成語も生まれています。

〔異形〕愚者にも千慮の一得あり。

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